研究課題/領域番号 |
17K13983
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
細谷 里香 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (20634984)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 折り紙 / 空間能力 / 視線 |
研究実績の概要 |
子どもの折り紙スキルの検討するための基礎的研究として,本年度は大人を対象とし,アイトラッカーを用いた折り紙活動の際の視線計測を行い,折り紙スキルと視覚的注意の関連および空間能力との関連について分析を行った。 まず,大人は基本的な三角折りや四角折りを遂行する際に,重ね合わせる角に視線を合わせていることが確認できた。折りの正確性と視線停留の関連について今後分析を進めていく予定である。また,複数の工程からなる折り紙作品作り課題を用いて,教示動画を参照する群と折り図参照群で,動画や図への視線の動きが異なるか検討した。動画を参照した群は,視線停留頻度に工程による有意な変化は見られず,視線停留の合計時間だけ有意に異なる工程があった。折り図参照群においては,視線停留の合計時間と頻度が工程により大きく変化していた。視線停留あたりの平均時間の値は動画参照群の方が折り図参照群よりも長かったが,統計的に有意な差は認められなかった。また,折り図への視線停留時間と頻度は自己報告による子どもの頃の折り紙遊びの経験と関連が認められた。折り紙遊びの経験が折り図への注視のあり方に影響していることが示唆される。 また,実施した空間能力課題のうち,折り紙スキルや視線データと関連がある課題について示唆を得ることができた。さらに,高校生を対象とした研究では,折り紙スキルと計算力との関連が認められ,折り紙を授業で活用した群における空間能力課題の得点向上が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴い,就学前児を対象とする実践研究について関係施設に協力依頼するのが難しくなっているため,就学前児対象の実践研究はまだ開始できておらず,進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果を参考に,幼児用の空間課題を選定し,幼児を対象とした実践研究を行う。空間能力や視覚的注意と折り紙スキルとの関連について明らかにし,折り紙遊びの教育的効果について検討,考察を行い,研究成果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がオンライン学会で開催され,旅費として使うことがなかったため,次年度使用額が生じた。 次年度は英文雑誌への論文投稿に係る費用として使用する予定である。
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