研究課題/領域番号 |
17K13985
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
佐藤 祐介 和歌山大学, 教養・協働教育部門, 講師 (30422017)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | サイエンスカフェ / リカレント教育 / 知の拠点 / コーディネーター / 科学コミュニケーション |
研究実績の概要 |
研究者が行う研究アウトリーチなどの地域で行う科学技術コミュニケーション活動を事例としてどのように地域住民の学習を支援すれば良いのか、地域住民が主体的な地域づくりに大学・研究者はどのように貢献できるのか地域の「知の拠点」としてどうあるべきかを研究した。平成29年度は和歌山大学が行った「ワダイノカフェ」および、石川県の「石川ツーリズムセミナー」とその後継の「新セミナー」について着目して文献調査、聞き取り調査を中心に行った。 (1)「ワダイノカフェ」では、50回以上の継続こそが地域の学習機会を生み出すことであると判明し、それはコーディネートを行う人自身が学ぶ姿勢で取り組むことであることが確認された。しかし、コーディネーターの任期が平成29年度で切れてしまうこともあり、事業の継続が危ぶまれるとともに、コーディネーターが積み上げてきた学びによるコーディネートが、担い手が居なくなることによって途切れてしまうことも判明した。 (2)「石川ツーリズムセミナー」の聞き取りからは、いまでも修了生同士の繋がりがあることが判明した。また「石川ツーリズムセミナー」と「新セミナー」との人脈の接続も行われていることもわかった。「石川ツーリズムセミナー」の教育手法は北海道においての「きたかんセミナー」に発展していることがわかり、さらに北海道においての「きたかんセミナー」の手法は石川県での「新セミナー」に受け継がれていることがわかった。それは前セミナーの受講生を次のセミナーの講師として招いたりすることなどの手法によることであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度である平成29年度は進捗状況において自身の体調不良による遅れが見られた。大学内のプロジェクトに時間を取られ、自身の研究環境面での時間確保ができなかった点が大きい。また、北海道留萌市での調査活動の時間が取れず、留萌の事例について調査が進んでいない。北海道の事例では、急遽自身が担当する科学教室が中止になってしまったこともあり、直接の調査ができなかった。 また和歌山の事例については聞き取りおよび文献調査を中心におこなった。しかし、ワダイノカフェを7年間対応していたコーディネーターの退職により、状況が変化したため、サイエンスカフェの開催間隔も不定期になるなど、研究に影響も出始めている。 石川県の事例については定期的に情報を収集しているが、実際の実施現場の調査には至っておらず、研究進捗状況に全般的に遅れが出ている。 そんななかでも力を入れたのが文献調査やワダイノカフェの東京開催の調査であり、担当コーディネーターの姿勢やその力量について知ることができたのも収穫である。石川県の事例についてもコアとなる教員には常時連絡を取り、情報を受け取っている状態である。セミナー初年度となる平成29年度は成功裏に修了したことが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、自身の体調不良が徐々に治りつつあるため、より本研究課題に取り組む時間を増やすとともに、北海道および石川県においての調査研究を強化することが考えられる。また、科学コミュニケーションや社会教育、リカレント教育、生涯学習などに関する文献調査についても強化し、和歌山の事例も含めた3つの事例を元にした、大学の「知の拠点」としてのあり方、そして科学コミュニケーションおよび大学・研究者の社会貢献による地域住民の学習支援についてのあり方を明らかにするため、3つの事例を調査し評価することが必要である。そのためにもこれまで以上に各事例の調査を精力的に行い、研究課題を明らかにすることが必要である。 また研究の遅れにより、平成30年度に予定していた海外での発表は見送り、調査活動を強化することに計画を変更することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度である平成29年度は進捗状況に遅れが見られ、とくに自身の体調不良や、大学内のプロジェクトに時間を取られ、自身の研究環境面での時間確保ができなかった点が大きい。また、北海道留萌での調査活動の時間が取れず、留萌の事例について調査が進んでいない。北海道の事例では、急遽自身が担当する科学教室が中止になってしまったこともあり、直接の調査ができなかったことが主な原因である。 平成30年度以降は、研究の遅れを挽回するとともに、北海道や石川県の事例の調査を精力的に行うことで研究を推進する事にしたいと考えている。
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