研究課題/領域番号 |
17K13985
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
佐藤 祐介 和歌山大学, 教養・協働教育部門, 講師 (30422017)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 研究アウトリーチ / 科学コミュニケーション / 生涯学習 / 社会教育 / サイエンスカフェ / 天文学 / 天文観光 |
研究実績の概要 |
北海道の事例では、研究代表者が、昨年に引き続き「るもい健康の駅」にて「子ども実験教室」を行う事で、地域の子どもたちや住民に対して実施するとともに、健康の駅の運営者の職員からコロナ禍における活動についてや、今後の展望について調査を行う事ができた。本事例では、コロナ禍においても理事長が率先して医学的な事柄にかんする市民講座を継続しておこなっており、施設の運営に制約をかかえつつも、工夫をこらして活動を継続していることを確認した。次年度も引き続き「子ども実験教室」を実践しながら調査を継続する。 石川県の事例では、コロナ禍の影響により昨年同様、調査そのものができなかったが、北海道、石川県、高知県、群馬県の観光セミナー受講生による交流会にて参与観察をおこなうことができた。石川県のセミナーは、上級者向けと初任者向けの2つに分かれ、開催されていることがわかった。 和歌山県の事例では、和歌山大学の研究アウトリーチについてはコロナウイルスの影響で引き続き当初予定の調査ができなかった。くわえて、和歌山大学としてサイエンスカフェイベントをおこなう限界がみえてきた。そこで、申請者が地域住民対象のサイエンスカフェを企画することを意図して、大学という立場を離れた地域住民を交えた実行委員会を組織し、継続的学習会を開催した。 これまでの研究からわかりつつある事は、地域の知の拠点として大学や研究者が地域住民に研究アウトリーチすることは、多くの研究者に認知されてきたが、一見すると直接的に地域課題の解決にアプローチできない研究分野の研究者には、アウトリーチに参画する敷居が高いということである。また直接的ではない研究分野は、地域住民のニーズにも表れにくく、特に基礎科学に分類される科学の研究アウトリーチをどのように地域住民とつなげ、住民の学習として作り上げて行くかが課題として残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
北海道の事例では、研究代表者が継続して、るもい健康の駅にて子ども実験教室を行う事で、地域の子どもたちや住民に対して実施するとともに、職員から今後の展望について調査を行う事ができた。コロナ禍でも理事長が率先して医学的な事柄にかんする市民講座を実施しており、活動を継続していることを確認した。
石川県の事例では、2019年度以降のコロナ禍の影響により、限定された情報収集にとどまった。和歌山県の事例では、コロナ禍の影響や大学改革の影響で、和歌山大学の実践が意味づけを変化させてきており、科学コミュニケーションの推進という文脈だけではないということが確認できた。そのため、これまでの研究から、一見市民生活に関わりの無い基礎科学を地域住民とつなげ、住民の学習として作り上げて行くかが課題として残されている。
研究代表者は2017年度に体調を崩し、病気休暇をとったため、当初より計画の実施が遅れている。そこで計画を変更し、2017年度は予備的調査のみを実施し、実質的な研究活動は2018年度より本格化させた。このような理由により一年遅れで調査研究を行っているうえに、2019年度末からのコロナウイルスの影響により研究活動が制限されたため、計画の実施が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実践や現地調査を伴う研究のため、コロナ禍の影響を大いに受けている。今回、研究期間を再延長したことにより、その分の調査や研究のまとめを実施していく。
今後は、各事例について追加調査を行い、そのコロナウイルスの影響を加味しつつ実体を把握する。また、その中で行われている学びについて調査すると共にその学びを構造化することを行う。また、コロナウイルスの影響も加味した研究アウトリーチについて踏まえつつ、これまでの研究成果を総括する。 具体的には、北海道の事例では、次年度も子ども実験教室を実践し、調査をおこなう。石川県の事例では、次年度は引き続き情報収集を継続しつつ、成人の学びの現状について調査を継続する。和歌山県の事例では次年度は、科学コミュニケーションを組織がおこなう意義を再検討するとともに、市民活動としてのサイエンスカフェを実践するための基盤作りをおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍の影響や元々の研究計画の遅れの影響である。研究期間の延長にともなって、適正な支出のもとに、研究活動を実施していくことを予定している。 使用計画についてはコロナウイルスの影響をみつつ、可能な形で研究活動を実施することで、計画的に研究費を使用する。具体的には、るもい健康の駅での子ども実験教室の実践および調査、研究打ち合わせ等で旅費を使用する。また、研究推進のための関連書籍、事務消耗品等の購入を予定している。また、調査に関して協力謝金等や、学会参加費や、学会参加旅費等で研究費を支出する予定である。いずれも支出時期についてはコロナウイルスの影響により明確には定まっていないが、可能な形で研究費を使用していく。
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