研究の目的は、スクールリーダーの計画的養成について、アクションリサーチの観点から理論的検討を行い、プログラム開発の一助とすることである。 最終年度は、昨年度実施できなかったスコットランドへの訪問調査を実施し、グラスゴー大学教育学部長および校長養成プログラム責任者へのインタビュー調査を実施した。スコットランドにおいては、校長職基準が改訂中であり(2019年版)、次年度(2020年8月)より新しい校長養成プログラムであるInto Headshipが本格実施される予定である。そこで、これまでの基準や校長養成の在り方にどういう問題を感じ、いかに発展させようとしているのかにより注目しながら、専門職基準の改訂内容、専門職基準の性質やその活用について、及びInto Headshipプログラムの特徴(カリキュラムや実施体制、教育方法、評価の在り方、学習の難しさは何かなど)を明らかにすることを試みた。 その結果、明らかになったことを幾つか示す。・専門職基準が「コンピテンスのベンチマークと」として到達目標的に扱われる傾向にあることを問題視し、活用について特に注意が促されている。実際のInto Headshipプログラムにおいても、基準とプログラム内容は一対一対応にはなっておらず、基準をホリスティックに扱うことが重要視されている。・専門職基準単体では不十分であり、「リーダーシップ開発枠組み」「専門職学習モデル」を併せて設定することで、連続性や全体性を確保し、継続的な学びを支えること。・Into Headshipプログラムは、以前のプログラムより期間が短縮化され(2年から1年へ)、修了しやすくなっていること(慢性的な校長不足に対応)。より国家政策との強い関連性が伺えるが、単なる政策の遂行者ではなく、批判的に吟味した上で学校改善プランを作成する戦略的なスクールリーダーが強調されていること
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