研究課題/領域番号 |
17K13988
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
Sevilla Anton 九州大学, 基幹教育院, 講師 (50754438)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教育人間学 / 教育哲学 / 教育関係 / 道徳教育 / 生徒指導 |
研究実績の概要 |
2017年度、計画通り、私は和辻倫理学と教育倫理学の思想史的な分析に取り組んだ。また、予定より早かったが、和辻倫理学の教育における応用も試みた。 思想史的な分析としては、「国体の本義」を詳細に検討し、その全体主義的な部分と、全体主義に還元できない部分を分析し、そこで、和辻のコミュニタリアンな考えとのつながりを検討した。また、高山岩男の教育哲学を調べ、彼の利益社会と精神共同体の弁証法が和辻の間柄論に類似していることを確認した。最後に、森昭の道徳教育の哲学を詳細に研究し、彼の教育の目的のみならず、人間発達と社会の「生成」の考え方も、和辻に類似しているのみならず、直接和辻を言及していることが分かった。 教育的応用の方は、和辻倫理学と生徒指導とグローバル教育の関連を探求した。和辻の間柄論、また個人性と全体性の「否定的二重構造」は生徒指導に応用できると分かった。また、和辻の空と文化の関係、また国民道徳論は、グローバル教育における道徳普遍主義と相対主義のパラドックスを解くために示唆的であると発見した。 加えて、少し理論的な探求も入れ、和辻を道徳教育に利用するために、和辻倫理学を「ナラティブ倫理学」として再解釈する可能性が見つかり、それを数回学会で議論することができた。 以上の成果として、学術論文3本、学会発表4件、単著一冊、共著一冊、翻訳一冊を発表した。最後に、以上の様々な可能性を日本外に伝えるために、「第一回九州大学・アテネオ・デ・マニラ大学教育及び哲学コロキウム」を九州大学で開催した。それはこれからの研究の交流の場になるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歴史的な研究は、勝部真長と湯浅泰雄にまだ及んでいないため、やや遅れているが、応用の面が予定より早く進んでいる。そこで、全体的に、順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、遅れた歴史的な研究をしながら、出来上がった成果を『The Ethics of Education in Watsuji Tetsuro』という著書に編成する予定。
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