研究課題
令和元年度には、前年度に引き続き(時期B)登録里親数が横ばいとなり、委託率が減少に転じる時期を主な研究対象とし、里親による養育実践と専門家らによる里親研究について調査分析を行った。本年度は大きく3つの成果を挙げることができる。まず、前年度に引き続き特殊里親部落に関する研究をすすめた。特殊里親とは、知的障がい児などを受託し、軽作業をさせながら職業支援などを行う里親のことである。1950~70年代にかけて千葉県で行われた特殊里親実践の役割と限界についてまとめ、日本社会福祉学会にて発表を行った。令和2年度に投稿を予定している。次に、鳥取県里親会・天理教里親連盟の創始者である升本栄久氏に関する研究成果をまとめた。以前、本科研費を使用して鳥取県でインタビュー調査と史料収集を行わせていただいたが、今年度記事にまとめ、『里親だより』に寄稿することができた。最後に、広島の精神養子運動に関する研究である。精神養子とは、アメリカに住む養親が、広島の養護施設で生活する原爆孤児を「精神養子(moral adoptions)」にし、金銭的支援や手紙、小包などをやりとりした試みのことである。当時アメリカでは日本人を法的に養子にすることができなかったため、このような形がとられた。精神養子は里親制度に則ったものではないものの、戦災孤児浮浪児を救済保護する取り組みの一つとして、注目すべき重要な実践といえる。精神養子運動を主導したノーマン・カズンズ関連資料(Norman Cousins Papers)を、カリフォルニア大学ロサンゼルス校図書館UCLA Libraryにて収集した(代理出張を依頼)。また、これらをもとに『里親だより』の記事を寄稿した。
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里親だより
巻: 123 ページ: 10-11
巻: 120 ページ: 8-9
巻: 121 ページ: 10-11
巻: 122 ページ: 10-11