研究課題/領域番号 |
17K13992
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
畠山 大 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10616303)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カリキュラム意識 / 教師の学び / 拡張的学習 / 単元学習論 / 新教科開発 / プロジェクト型学習 / 認識論的転換 / 教育実践の創造 |
研究実績の概要 |
平成31年度(令和元年度)は、本研究課題の目的および実施計画に照らして、「単元学習」「プロジェクト型学習」「新教科開発」に関する諸研究の文献補充調査および実践事例の補充調査を実施した。具体的には次の3点を実施し、当該研究課題の展開とまとめを図った。 (1)「単元学習」「プロジェクト型学習」「新教科開発」に関する国内外の諸研究を収集し、分析・整理した。この点は研究期間を通じて実施してきた当該研究課題に関わる先行研究の分析に当たる点であり、今年度はこれまでの成果も踏まえて補充的な調査を実施した。国内における学外施設において、特に教育課程開発やカリキュラム改善、教師の学習論に焦点を当てて資料の調査を実施した。 (2)昨年度の成果に基づき、「単元学習」「プロジェクト型学習」「新教科開発」に関する実践事例の補充調査および、これらの動向と関連するカリキュラム開発の実践事例の補充調査を実施した。今年度は特に、国内における事例分析に焦点を当てて調査を実施することとなった。具体的には、昨年度から継続的に調査を行っている自治体において、「新教科開発」の動向がどのような展開を見せているか、複数回の調査を実施した。 新しく得られた視点として、①新教科開発を支える「カリキュラム意識」には、学校教育実践に対する教師の認識の変容が関連しているという点である。また、②この変容には積極的な意味と消極的な意味の2点が含まれているという点である。 (3)これまでに得られた成果を基に、研究のまとめを実施した。特に今年度行った調査からは、教育課程開発やカリキュラム改善、新教科開発のためには、教師たちにはそれらについての技術的習熟が要請されるのみならず、より原理的な認識論的転換が求められることも明らかとなった。この認識論的転換のあり様を、「拡張的学習」論の視点から分析し、「カリキュラム意識」概念の再構成を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画においては、当該年度は、補充調査の実施期間および研究成果取りまとめの期間として位置づけていた。ここまでの研究の進捗は概ね順調であり、年度当初は予定通りの研究計画を実施できる見込みであった。 しかし、補充調査については、結果として一部の国内調査のみ実施することができ、国外調査(米国における学校訪問調査)は実施することができなかった。当初は年度冒頭に国外調査を実施予定であったが実施が困難となってしまった。そのため、年度後半に実施の可能性を模索したが、十分な調査期間を確保することができなかったため、結果として当年度の実施は断念せざるを得なかった。 また、研究成果の取りまとめについては、年度半ば頃までは順調に行うことができ、学会や研究会での口頭発表等を重ねてきた。しかし、それらの成果を体系的に整理し、研究成果報告論集を作成する段階に至って、新型コロナウイルスの影響もあり、研究協力者等々との協議が十分に行えず、作成の延期を検討しなければならなくなってしまった。 本来、今年度実施する予定であった補充調査並びに研究成果報告論集の作成は、次年度に実施することとして研究計画を見直し、当初予定の研究目的が十分に達成されるように努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に実施予定であった国内外の補充調査並びに研究成果の取りまとめを、次年度に実施したい。 国内外の補充調査については、目下問題となっている新型コロナウイルスの影響を見極めながら、実施可能な方策を構築し、実行したい。すでに国内の調査先については、遠隔でのインタビュー調査等の計画を立てており、そうした手段を適切に活用しながら、できる限り十分な研究活動を実施することを予定している。また、国外調査は学校訪問を中心とする調査になる予定のため、遠隔による実施では十分な成果が見込めないこともあり、現時点ではどこまで実現可能か見通せない部分がある。海外渡航の安全性等に十分に配慮しながら、また、所属機関における海外渡航に関する諸ルールに従いながら、実現可能な計画を策定し、実施する予定で検討している。 また、研究成果の取りまとめについては、関連学会での発表や論文投稿を実施する。また、年度半ばに研究成果報告の中間まとめを作成し、それを基に研究会を実施し、年度末の研究成果報告書作成に結び付ける予定である。当研究成果報告の中間まとめには、研究協力者からの寄稿も予定しており、目下、十分な研究成果発表を見込めるように準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた国外学校調査を実施することが困難となり、そのために計上していた旅費分について使用することができず、残額が生じた。また、年度末に刊行予定としていた研究成果報告論集の刊行を、研究期間の延長に伴い次年度へと延期したため、その分の費用も残額となった。 次年度はこれらの費用を、今年度計画と同様に、国外学校調査への旅費並びに研究成果報告論集の刊行費用として使用する予定である。
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