研究課題/領域番号 |
17K13993
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
大村 眞依子 (渡邉眞依子) 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (60535285)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コンピテンシー / ドイツ / 幼児教育 / プロジェクト / カリキュラム |
研究実績の概要 |
本研究は、今日のカリキュラム改革の中で注目されているプロジェクトによる学びのあり方を探るため、伝統的かつ先進的な取り組みが行われてきた、ドイツにおけるプロジェクトによる学びの実態を明らかにするものである。 平成29年度には、これまで十分に整理されてこなかった、ドイツの幼児教育におけるコンピテンシー形成の議論とカリキュラム上での位置づけを整理し、プロジェクトによる学びによって求められるコンピテンシー(資質・能力)とは何かを、文献や資料から明らかにした。具体的には、ドイツ各州の幼児教育段階の教育要領や文献を収集し、各州で構想されているコンピテンシー形成の特色や小学校以上でのコンピテンシー形成の理論との関係を明らかにした。これらの成果については、愛知県立大学大学院の紀要や所属学会(日本教育方法学会)において発表した。 2018年3月には、ギーセン、ビーレフェルト、ライプツィヒを訪問し、プロジェクト学習の実施状況や議論についての情報収集や、次年度以降の学校等視察の依頼を行った。プロジェクト学習等で有名なビーレフェルト実験学校やライプツィヒ市内の学校・幼児教育施設の見学、プロジェクト活動等の参観を行うとともに、次年度以降の調査協力の依頼を行った。また、幼小接続やプロジェクト学習について研究しているLudwig Duncker教授(元ギーセン大学)のもとを訪れ、ドイツにおけるプロジェクトによる学びの現状やコンピテンシー形成に向けたカリキュラム改革の動向についてインタビューするとともに、次年度以降に視察する学校・幼児教育施設の紹介・調整や継続的な研究交流等、本研究への協力を依頼することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、カリキュラム上でのプロジェクトの位置づけやプロジェクトによるコンピテンシー形成の理論枠組みを明らかにする計画であったが、幼児教育領域を中心に、プロジェクトやコンピテンシーに関する文献・資料の収集や、コンピテンシー形成に関するカリキュラム上での位置づけ、理論枠組みの整理を行い、その成果を学会等で発表することができた。さらに、次年度に本格的に実施する予定であったドイツでの学校・幼児教育施設の視察に向けて、連絡可能な研究者や学校等に、直接協力を依頼することができた。また、近年のドイツでのプロジェクト学習やカリキュラム改革に関する情報・資料の収集、実際のプロジェクトによる学びの様子の観察を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、ドイツにおけるプロジェクト活動の理論的な枠組みの検討を進めるとともに、前年度に協力を依頼した幼児教育施設及び小学校を訪問し、インタビューと実践観察を行う。訪問先の学校等では、各校・各園の教育課程やプロジェクトに関する資料の収集や教師等へのインタビューにより、学校等のカリキュラム上でのプロジェクトの位置づけや意義、コンピテンシー形成との関係を明らかにする。また、プロジェクト学習の様子を観察し、子どもの活動や教師の指導性等のプロジェクトの過程の実際を明らかにする。現時点では、Ludwig Duncker教授に紹介・仲介していただく学校・幼児教育施設とビーレフェルト実験学校への訪問を予定している。その他の州の学校等への訪問も検討していくが、実際のプロジェクトの過程を明らかにするためには複数日に渡る観察が必要なことと日程の問題から、訪問先の地域は3地域程度に限定する。学校等の教育現場だけでなく、前年度には実施できなかった教育行政担当者へのインタビュー調査(ノルトライン・ヴェストファーレン州、ヘッセン州等)も行う予定である。さらに、これらの調査の成果をまとめ、国内の関連学会(日本保育学会等)での発表に向けて準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定よりも安価で入手できた物品があり、物品費を低く抑えられた。また、ドイツでの現地調査では、同時期に別のドイツ調査を行っていた研究協力者(吉田成章・広島大学准教授)及び現地在住の研究協力者(木下江美・ライプツィヒ大学研究員)に研究協力を依頼できたため、人件費・謝金を当初の予定よりも使用していない。 2018年度には複数回ドイツでの現地調査を行い、学校等での視察やインタビューのテープ起こし等も必要となる。交通費や、通訳謝金、テープ起こし等の調査補助金が前年度よりも多く必要となるため、次年度使用額と当該年度助成金を合わせて使用する。引き続き文献・資料収集も行うため、図書等の物品費や文献複写費も必要である。また、前年度まだ購入していない文具等の消耗品も購入する予定である。
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