本研究では、〈若者支援〉現場でNarrative Inquiryをおこなうことによって、実践者が自らの実践を言語化する作業を創出し、当該実践の深化と実践者の専門性育成を図る過程を生み出しつつ、研究としては以下の点を明らかにすることを目的としている。 ①Narrative Inquiryによる実践の深化・変容の過程と、その深化の核として捉えられる要素を明らかにすること ②実践深化とかかわる〈若者支援〉の専門性について、実践者が言語化・意識化・身体化する過程も含めて明らかにすること ③〈若者支援〉にNarrative Inquiryを用いることの意義と課題を明らかにすること 2018年度は、協同研究をおこなう現場スタッフの入れ替わりがあったことから、Narrative Inquiryを実施するための土台形成にふたたび時間を要した。2ヶ月に1回程度の研究会をおこない、現場に参加する若者のストーリー分析をメインにおこないながら、ストーリー検討の視点を獲得・共有していく作業をおこなった。また、年度末には実践者自らのストーリーの一端を言語化していく作業を開始した。今後、実践者が生きるストーリーの変化がどのような契機で生じ、自身に認識され、また専門性と結びついていくのか、検討を進めたい。なお、実践者と共におこなわれたストーリー検討はすべて記録化しており、今後、実践者の見方・視点・意識等がどのように変化していくのか、当人の無意識レベルの変容を含めて検討する材料として蓄積している。
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