本研究では、〈若者支援〉現場でNarrative Inquiryをおこなうことによって、実践者が自らの実践を言語化する作業を創出し、当該実践の深化と実践者の専門性育成を図る過程を生み出しつつ、研究としては以下の点を明らかにすることを目的としている。 ①Narrative Inquiryによる実践の深化・変容の過程と、その深化の核として捉えられる要素を明らかにすること ②実践深化とかかわる〈若者支援〉の専門性について、実践者が言語化・意識化・身体化する過程も含めて明らかにすること ③〈若者支援〉にNarrative Inquiryを用いることの意義と課題を明らかにすること 最終年度では、これまで蓄積したデータ分析をおこない、まとめの作業をおこなった。とりわけ、目的の①と③については一定の知見を得た。具体的には、Narrative Inquiryを若者支援に援用することによって、多様な若者の生活世界の理解が可能になること、若者の主体性・能動性に着目する視点が強化されること、複数の視点からの検討により実践の広がりとスタッフの反省的思考・力量の形成が促されること、等が明らかとなった。 これらの成果を著書にまとめ、刊行した。
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