研究課題/領域番号 |
17K13996
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研究機関 | 稚内北星学園大学 |
研究代表者 |
米津 直希 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 准教授 (30733141)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 少子高齢化 / 地域教育経営 / 北海道宗谷 / へき地教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、北海道宗谷地方において歴史的蓄積をもつ教育運動及び実践が、少子高齢化や新たな地域の貧困に対してどのように取り組むのかを調査することで、地域教育経営の構造的変容と学校づくり実践モデルの検討を行うことである。 平成29年度は教育運動の一つの重要な柱である「子育て運動」の調査を予定していたが、調査の過程で宗谷における教育運動の原点がへき地教育及びへき地級地の運動にあることが明らかになったことから、へき地級地対策の運動に着目し調査を行った。 宗谷におけるへき地教育及びへき地級地対策の運動において、へき地教育振興法とそれに関する運動が宗谷においても重視されていることが明らかになった。本法律は戦後、教育の機会均等を実現するために、教師達の自主的な運動と、教育行政関係者によってつくりあげられた法律であることがわかった。こうした運動から、宗谷においては教師たちが児童生徒の状況の把握、及びそれを取り巻く教育環境の学習を行い、教育行政関係者との十分な協議を通じて、教育の機会均等を実現する事が重視されてきたことが確認された。 またへき地教育に着目した事により、近年、へき地小規模校における学校経営・カリキュラム開発が注目されてきていることが明らかになった。これまで「例外」として扱われてきたへき地小規模校における教育やその方法の研究が汎用可能性を持つとの主張もある。 以上のように、へき地教育及びへき地級地の運動に着目したことで、宗谷地方における教育運動原理の解明に近付いたこと、へき地教育そのものへの着目は少子高齢化社会における地方の教育への教育及び教育方法のモデルになり得ることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象の変更はあったものの、宗谷の教育運動の原点とされているへき地教育についての理解と解明が進んだことで、研究上の進捗は大きかった。一方でへき地教育の調査に時間を費やしたため、作業課題としての資料収集等について若干の遅れが生じている。よって、計画全体としてはおおむね順調だと言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、今年度は調査・研究の整理及び必要な追加調査を行ったうえで研究のまとめに入る。 平成29年度にへき地教育の視点を得たため、これまでの研究をへき地教育の視点から整理し直し、計画していた「宗谷地方における地域教育経営の構造的変容と教育運動の三本柱の対応関係」の解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象の変更によって基礎研究に費やした時間が多かったため、特にインタビュー起こしの費用として計上していた費用を使わなかったこと、今年度対象とした聞き取り調査相手との関係性上、謝金が発生しなかったことが、特に「人件費・謝金」において予算を下回ったことの大きな理由である。 また旅費については研究協力者の異動により、一部の資料収集を依頼できたこと、物品費においては上記基礎研究においては収集すべき資料に古書が多く、基本的にコピーで対応したことで費用が抑えられた為である。 今年度は研究のまとめに入るため、欠けている資料の収集と、研究協力者との打合せ、及び研究成果公表のため学会発表等の参加として、旅費に多く計上する予定である。
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