研究課題/領域番号 |
17K14000
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
出川 真也 大正大学, 地域創生学部, 専任講師 (00451659)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域回帰人材の志向性 / 地域活動団体の志向性 / 地域担い手人材の志向性 |
研究実績の概要 |
当研究は、地域担い手人材が地域に関心を向ける動機や意欲を「『地域回帰』志向」と呼び、この形成過程と要因を教育学的観点から類型的・数値的に明らかにするとともに、人材育成プログラムを開発・実施し、その効果を検証しようとするものである。 当年度は、国内6カ所(宮城県南三陸町、新潟県粟島浦村、阿賀町、東京都豊島区、山梨県小菅村、滋賀県近江八幡市)の本調査地において地域活動団体と地域担い手人材に対するヒアリング調査及び既存調査データの整理取りまとめを行った。またホームページによる情報発信及び調査地間のネットワーク基盤となるシステムフレームを構築した。 調査活動の結果、本調査地で実施するアンケート調査の項目内容や形態について現場視点からさらに精査・検討する必要性があることが明らかとなった。本調査地への威光暗示効果を避けるため、本調査地域とは別にアンケート内容に関する精査・検討を行うための類似的特徴を持つ地域を設定し(秋田県由利本荘市、宮城県気仙沼市、塩竈市、静岡県南伊豆町、島根県山間地域)、ヒアリングや意見交換を実施し本調査地で実施するアンケート項目及び形態等の妥当性に関する確認・精査作業を行った。 初年度ヒアリング調査で地域活動団体等が最終年度に予定している人材育成プログラムの開発・試行実践に対して高い関心があることがわかった。そのため先行して当該プログラム試行におけるアセスメント・評価手法の設定準備作業に着手した。 以上の結果、地域回帰人材をとりまく地域活動団体の志向性とニーズ、立場や期待、教育的要素等の特質について整理することができたことは重要であり、また調査地の追加設定等により研究対象の拡充を図れたことから、初年度実績として意義を高めることができた。これらを踏まえて今後、本調査地における担い手人材への個別及びグループヒアリングとアンケート調査を順次進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究は、(1)活動団体へのヒアリングと地域担い手人材に対するアンケート調査、(2)地域担い手人材に対する個別インタビュー調査、(3)複数の担い手人材を交えたグループヒアリングの実施、(4)「地域回帰」志向の形成過程と教育的要因の類型化・数値化、(5)人材育成プログラムの開発と試行実施といった5調査を進めていくこととしている。 当年度は(1)及び(2)の調査項目を行うこととしていた。しかし、地域活動団体へのヒアリングの結果、地域担い手人材に対するアンケート調査に先立って地域担い手人材に対する個別インタビュー調査を先行させ、地域担い手人材に対するアンケートの内容や形態について現地側の事情を考慮に入れながら再検討・精査する必要性が生じた。そのため威光暗示効果を避ける配慮から本調査地とは別に6つの予備調査地を追加し、アンケート検討のためのヒアリングや意見交換を行った。この調査地の追加設定により精度の向上と収集情報量が増加し、研究内容の充実化が図られる結果となった。 また地域活動団体が(5)の調査内容である人材育成プログラムの開発や試行実施に対する関心が高いことが明らかとなり、(5)の調査要素である教育アセスメント(評価)手法に関する検討を先行して始めることができた。 以上から(1)活動団体へのヒアリングと地域担い手人材に対するアンケート調査のうち、地域活動団体へのヒアリングが実施済、(2)地域担い手人材に対する個別インタビュー及び(5)人材育成プログラムの開発と試行実施の一部調査設計作業に取組めた。アンケート調査は、これら調査結果を踏まえて次年度実施する。 上記により、調査項目間で進捗のばらつきが若干生じているが、研究対象や精度の拡充・精緻化を図れたことや先行的に取組めた調査項目があることを勘案し、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
6つの本調査地の他、当年度設定した6つの予備調査地のヒアリングや意見交換の結果を踏まえて、アンケート調査を精査・設定し実施する。またフォーカスグループの設定とインタビュー調査を行う。以上の量的・質的両面の調査結果を統合して「地域回帰」志向形成過程と要因の類型的・数値的可視化を図っていく。
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備考 |
地域創生の教育学 出川真也ホームページ https://degawaken.com/
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