研究課題/領域番号 |
17K14002
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研究機関 | 金沢星稜大学 |
研究代表者 |
大畠 菜穂子 金沢星稜大学, 教養教育部, 講師 (70727859)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教育行政 / 教育委員会 / 教育長 / 地方分権 / 自治体 / 委任 / 専決 |
研究実績の概要 |
本研究は、教育委員会組織内部の権限と責任を明確化するため、各自治体の議事録・事務委任規則を用いて、教育委員会の事務の3つの執行方法(議決事項、専決事項、委任事項)を峻別し、合議体の教育委員会が実質的に責任を負う領域を明らかにするものである。 本年度はまず、教育委員会の所掌内容を整理するため、教育行政に関する国・都道府県・市町村・学校の権限配分の整理を行った。具体的には、OECDの指標(国公立前期中等教育の4領域46指標)を用いて、1949年から現在に至る権限配分の推移を考察した。その結果、OECDの指標を用いた場合、日本では、四者間で比較的均等に権限が配分されていること、1952年から1956年までの市町村教育委員会の全国一斉設置期をのぞけば、現在に至るまで四者間の権限配分は基本的にほぼ同じ割合で推移していることが明らかになった。 次に、各自治体の議事録・事務委任規則を収集し、教育委員会の事務の3つの執行方法(議決事項、専決事項、委任事項)の分析を行った。その結果、都道府県レベルと同様に、政令指定都市、中核市、その他県庁所在市においても委任除外・専決方式を採用する自治体が多いことが明らかになった。こうした委任除外・専決方式の採用は、一部の自治体の事務委任規則の変遷をたどると、1956年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の制定を契機としており、その後は大きな変更がなされていないことを確認した。一方で、委任事項が少なく基本的に専決中心となっている自治体も依然として存在する。こうした自治体における具体的な事務執行方法については今後さらなる調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1年目である平成29年度は、緊急に対応しなければならない業務が発生し、各自治体の議事録・事務委任規則の詳細な分析が当初の予定よりやや遅れているためである。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗状況に若干の遅れは見られるが、研究を進めるための基盤は整いつつあり、分析中の各自治体の議事録・事務委任規則について、早急に結果をとりまとめることとする。来年度には研究計画の遅れを取り戻し、当初の計画通りに研究をすすめる予定である。
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