本研究の成果としては、明治末期から昭和初期の中国地方の公立小学校における大正新教育実践が、単なる師範学校附属小学校(以下、附小と略記)や私立小学校の教育理論の摂取にとどまらず、地域課題を背景にして独自に行われていたことが明らかとなった。従来の大正新教育研究は、附小や私立小学校の顕著な実践を中心にして行われてきた。いっぽう、公立小学校においては旧態依然とした教育が行われたというのが通説的だった。それに対して、近年では公立小学校においても大正新教育実践が行われていたことが明らかにされつつあり、本研究はその延長上に位置づけられるものである。
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