| 研究課題/領域番号 |
17K14008
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| 研究機関 | 愛知大学 |
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研究代表者 |
吉本 篤子 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (80771005)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 児童書運動 / 読書教育 / 児童文学 / ドイツ教育思想史 |
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| 研究実績の概要 |
（１）ハインリヒ・ヴォルガスト『全体的人間』（Ganze Menschen, 1910）の検討
本書は、ヴォルガストの教育論の思想的基礎をやや体系的に論じると同時に、児童教育に関して具体的な提言も行っている著作である。彼の主著『我が国の児童文学の惨状』（Das Elend unserer Jugendliteratur、1896）に見られる読書教育論は、従来、新教育初期の芸術教育運動の一部として位置づけられていた。本研究は、『全体的人間』も視野に入れることによって、ヴォルガストの活動をドイツ新教育（改革教育）のより広い枠組みのなかでとらえ直そうとした。その過程において、新教育期における読書と人間形成と学校教育の議論を理解するために、ヴォルガストが読書教育運動を主導していた時期（1890年代～1910年代）と、ヴォルガストの後継者の時期（1920年代～）を比較検討することの重要性が明らかになった。2020年度は、ヴォルガスト以後の議論についても文献収集と検討を行っていく予定である。
（２）ヴォルガスト読書教育論の思想的背景に関する研究
前年度に引き続き、読書教育論を中心とするヴォルガストの思想と実践を検討するために、19-20世紀転換期ドイツの児童文学や児童文学・文芸批評、社会思想や教育運動、政党の教育政策等に関する文献の精読を進め、ヴォルガストの読書教育論と同時代の思想潮流との影響関係を考察した。
以上の研究をすすめてきたが、論文発表にはいたらなかった。2020年度中に論文としてまとめて発表したい。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度の研究実施計画は、前年度までの進捗の遅れがそのまま影響した。2019年度も、日本を長期間離れる日程調整ができず、当初予定していたドイツへの訪問調査を行うことができなかったため、新たな史資料の調査・収集は当初の予定よりも遅れた。これまでに入手した文献とあわせて、2019年度に購入した関連文献の精読・分析を進めた。論文の発表も遅れている。史資料の整理、精読に集中し、所属大学の紀要や所属学会の学会誌への論文投稿のための準備を進めてきたので、2020年度は最終年度としてこれまでの成果をまとめて発表したい。
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| 今後の研究の推進方策 |
2020年度は、目下のところドイツにおいて文献調査を行うことが不可能な状況にあり、必要な文献については引き続き日本国内から収集する予定である。
2020年度の前半には、既にほぼ入手し終えている文献をもちいて、ヴォルガストの読書教育思想と実践の研究に引き続き取り組みたい。具体的には『我が国の児童文学の惨状』と『全体的人間』を統一的に理解し、その全体像をえがきだすことによって、従来、比較的注目されることの少なかった、ドイツ新教育運動における読書教育の意義を明らかにしたい。
2020年度の後半には、同時代の諸思想潮流やヴォルガスト周辺の人物との関わりにおいて、ヴォルガストを中心とするドイツ児童書運動の影響関係を、いくつかの事例や「全体性」のようなカギ概念に焦点をあてて検討を行い、ヴォルガストの問題関心が同時代において孤立したものでなかったことを解明したい。
2020年度には、以上のような問題に関する研究成果を報告や論文の形で発表することをめざしており、最終的にはこれらの研究成果を報告書としてまとめる予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
ドイツへの出張をとりやめたことと、国内の学会出張も予定変更で中止したため、出張費用を使用しなかった。
また、大型の資料については、今年度はすでに所有している文献の精読を中心に進めることになったため、当初予定していた資料の収集に必要な費用を使わなかった。
2020年度に、引き続き文献の収集と報告の準備のために使用する予定である。
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