読書の人間形成的意義はどこにあるのか。本研究ではドイツの教育者ハインリヒ・ヴォルガストの読書教育論に着目し、彼が推薦した児童書がなぜ子どもにとって重要だと考えられたのかを検討した。またヴォルガストを中心に広がったドイツ19-20世紀転換期の児童書運動の概要が同時期の改革教育運動においていかなる意味をもっていたのかを検討した。本研究は、19-20世紀転換期ドイツのいわゆるエリート層とは異なる子どもに読書がどのような意味をもつと考えられたかを明らかにする研究であり、また20世紀初頭のドイツの読書や教養、人間形成についての考えが現代にどのように引き継がれるかを検討することを可能にする研究でもある。
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