研究課題/領域番号 |
17K14015
|
研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
福井 文威 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (60792364)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 寄付 / 高等教育政策 / 高等教育財政 / 米国高等教育 / ファンドレイジング |
研究実績の概要 |
本研究は、1980年代以降の米国高等教育における寄付の拡大要因を個別大学の経営的側面から解明することを目的とするものである。我が国の高等教育を支える主要財源であった政府補助金は、国の財政状態の影響により、拡大することが困難な状況にある。一方、高等教育は、その質的向上が要請されており、今後その資金確保が深刻な課題となると見込まれる。本研究では、米国の個別大学の寄付募集部門(Development Office)に着目し、その組織体制の変遷と歴史的背景、寄付募集部門の変化と寄付拡大の関連性を、実証的に分析することで、高等教育への寄付拡大をめぐる議論の基礎を形成することを目的とする。 初年度は、主に2つの作業に従事した。ひとつは、本研究の前提として米国と日本の高等教育機関の寄付に関する社会的コンテクストの違いを明らかにするにあたり、既存の統計資料から国立大学と米国の州立大学の寄付の実態、その制度的前提の相違を検討した。具体的には、日本の国立大学法人と米国の州立大学への寄付金額の規模の比較とその規定要因を検討するにあたり、財務資料からパネルデータセットを構築し、その規定要因を分析した。分析の結果、資本市場に関する変数の影響が日米で異なっており、高等教育への寄付の構造が異なることを国際学会や著作などにおいて報告した。 いまひとつは、これまでに筆者が収集してきた米国の研究大学の歴史資料を整理するとともに、米国のペンシルバニア州立大学においてアーカイブ調査を実施し、1980年代から1990年代の米国の大学のDevelopment Officeに関連する年表の作成作業に従事した。次年度は、不足分の資料を米国での在外研究を通じて広く収集するとともに、本資料を用いながら、論文の執筆に取り組むことを予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国の大学経営と寄付募集の変遷を検討するにあたって、日米の制度的前提の相違を踏まえた理論的検討とともに、米国のアーカイブ資料の収集と分析に着手することができている。また、その成果を国際会議、著作などにおいて公表することもできており、おおむね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、米国での在外研究を通じて、研究大学のみならず多様な大学の寄付募集部門に関連する資料を収集し分析をする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨今の国の財政事情に鑑み、アルバイト雇用や航空券などを格安のものにするなどで対応し、予算の節減につとめた。翌年度、米国でのアーカイブ調査に関連する調査費用に充て、本研究課題を達成する上で必要な資料の収集と整理を行う。
|