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2020 年度 実施状況報告書

新任教師がもつ生徒指導におけるジェンダー観の構築・変容過程

研究課題

研究課題/領域番号 17K14020
研究機関宮崎公立大学

研究代表者

寺町 晋哉  宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (10775729)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード初任者教師 / 困難 / 責任 / 学級
研究実績の概要

平成30年度から実施している初任者教師へのインタビュー調査から、初任者教師が抱える「困難」について明らかにした。本事業の目的は「教師のもつ生徒指導におけるジェンダー観の変容過程」を明らかにすることであったが、調査を継続していくうちに、初任者教師らが共通して「多忙」や「困難」の対応に苦慮していたことから、新たな研究課題として本研究を行なった。明らかになったことは以下のとおりである。
初任者は入職直後から学級担任・授業者として質量ともに膨大である業務をこなし、非常に多忙であった。周囲のサポートは存在するが、多くの業務は学級担任である初任者へ責任が紐づけられているため(「責任の個別化」)、他者が代替・分担することは容易でないことがわかった。また、「責任の個別化」によって初任者は、学級や授業の「課題」の原因を求められやすく、結果の責任も引き受けることになる。さらに、最低限の教育活動を担保できるよう多くの「学び」が設定されているが、そのことで初任者の多忙化は促進され、かつ他律的な「学び」へ陥りやすい。
初任者個人の努力へ依存する傾向にある「責任の個別化」は学級制度によって生み出されていた。また、学級制度は多忙を加速させる。学級は自己準拠システムを必要とし、内在的に多忙化しやすい。そこへ「責任の個別化」によって他学級・他教師との比較が生じやすく、また、教育実践は常に「より良いもの」へ「改善」する余地を残し、授業改善や学級活動が加わる。そして、それらが「成果」を挙げれば「責任の個別化」によって、「〇〇先生でよかった」という報酬が得られ、更なる労働強化が生じかねない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウィルスの影響により継続した調査・研究を行うことが非常に難しかった。特にインタビュー調査は対象者との接触が必要であり、オンラインツールによる調査も対象者の環境に依存するため円滑に進めることが難しかった。また、学校現場が新型コロナウィルスの対応により多忙が加速し、対象者との日程調整も難しかった。

今後の研究の推進方策

当初予定していた調査が延期になっているが、現状を鑑みると今後も安定した調査は難しいことが予測される。
計画最終年度のため、現在収集したデータをもとに知見を整理する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスによってインタビュー調査の実施が難しく、調査に必要な旅費やデータの文字起こし費用が未使用になった。また、学会発表もオンラインになったため、旅費が未使用となった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 初任者教師の「困難」は何か?2020

    • 著者名/発表者名
      寺町晋哉
    • 学会等名
      日本教育社会学会第72回大会

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公開日: 2021-12-27  

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