本研究は、“熟練幼稚園教師”を日本・中国・アメリカの3カ国の国際比較から検討するもので、2点の研究課題解明を目的としている:1)各国の熟練幼稚園教師 の教授法の特徴は何か、2) 熟練幼稚園教師に至る過程に何が貢献しているのか。平成29年度から平成30年度にわたって3か国(アメリカ・日本・中国)で5人の担任教師に加え、他の熟練教師・園長・幼児教育専門家と合計107名にインタビューを行った。
1)各国の熟練幼稚園教師の教授法の特徴は何か:日本・中国・ア メリカでのインタビューで“余裕が出てきた”“言葉より身体を使うようになった”“子ども と向き合えるようになった”などの答えを得た。その結果、これ らの特徴は3 か国で共通していることがわかった。これは各国での教授法の違いを報告していた今までの研究を踏まえると、意外な結果であると言え、面白い結果である。2) 熟練幼稚園教師に至る過程に何が貢献しているのか:師弟関係、現場経験、ワークショップ、園内研修など、色々な要因が挙げられた。こちらは 各国で特有の傾向が見られている。中国では師弟関係・評価システムが、日本では現場経験・園内研修、アメリカではワークショップ・大学院での学び、が多くあげられ た。
本研究で得られた熟練幼稚園教師の教授法の特徴は、他の分野の熟練者の研究と通じているものがある。本研究では、熟練幼稚園教師から得られた結果を、教師 一般、そして、教師に限らず、他の熟練者に関する研究と照らし合わせて、議論を展開する。
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