ここではまず、最終年度なる本年度の研究成果について述べることにする。最終年度は、本研究における研究成果の公表に力を注いだ。第1に、本研究で得た特別支援教育に携わる教師のインタビューデータをもとに、「障害」とそれの関連概念である「病い」に対する教師の認識を論文化し、大学紀要に掲載した。第2に、研究代表者のメイン学会である日本教育社会学会にて、「発達障害を有する子どもの親」の変容(「成長」)を複数の質的データから明らかにした学会発表を行なった。そして、第3に、前述の第2として述べた学会発表をもとに論文を学会に投稿し採択された。その他、コロナ禍ではあったが、可能な範囲でオンライン等でインタビューを行い、今後の研究活動につなげるために補足的な調査を実施した。 次に、本研究全体を通じての意義としては、次の2つが挙げられる。第1に、研究題目である「発達障害支援をめぐる相互行為研究」における「教育的支援の構成的特質」を明らかにするために、発達障害児に直接的に携わる教師のみならず、親、兄弟、当事者(発達障害児)という多様な行為者の観点から「支援」のあり様に実証的なデータをもとに接近した点、第2に、特に当事者へのインタビュー調査を行う中で、「障害」のみならず「病い」という隣接概念に対する自己意識を明らかにする必要性を感じ、「障害と支援」・「病いと支援」の双方の観点から「支援」のあり様を検討した点が挙げられる。
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