研究課題/領域番号 |
17K14024
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
三浦 綾希子 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (90720615)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ニューカマー / ジェンダー / 第2世代 |
研究実績の概要 |
フィリピン系ニューカマー第2世代とその母親たちに対するインタビュー調査を行った。対象者たちには2010年より断続的にインタビュー調査を行っており、今回の調査もその延長上にある。 青年期へ突入した対象者たちのインタビューからは、フィリピン人母との関係性が成長するにつれて変化していることが分かった。特に、男女交際等について母親から干渉されることが多くなっており、それに対して反発する者もいれば、うまく交渉しつつやり過ごしている者もおり、その対応の仕方にはバリエーションが見られた。しかし、いずれの場合も母親と娘たちは親密な親子関係を築いており、フィリピン社会の特徴とされる「家族中心主義」が維持されている様相が見て取れた。 また、コミュニティ内の人間関係が母親たちの娘への干渉を強める動機にもなっていることも明らかとなった。母親たちはコミュニティ内で早期に妊娠した者たちのことを念頭におき、娘たちが同様のことをしないよう、厳しく管理する。一方で娘たちは、コミュニティ内のメンバーと自らをうまく差異化することによって母親からの干渉にうまく対応しようとしていた。 思春期以降、特に女性たちは親から性行動に対する干渉を受けることが海外の先行研究でも明らかにされているが、類似の傾向が日本でも見て取れた。ただし、日本の場合、両親というよりも母親からの干渉が強いことが特徴的であり、国際結婚家庭が多い日本の状況を反映したものであるといえそうである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、これまで対象としてきたフィリピン系ニューカマーの親と子どもを対象者に継続的なインタビュー調査を行ってきている。また、かれらのジェンダー意識に影響を及ぼすであろうと考えられるエスニック教会での参与観察も断続的に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の調査に基づいて今年度、日本社会学会でその成果の一部を発表する予定である。 また、調査に関しては、日本でのインタビュー対象者が女性に限定されてしまっているので、今後は男性の対象者も増やし、男女で親からの干渉が異なるのかという点について検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた図書を学内研究費で購入したため、次年度使用額が生じました。海外調査のために必要な図書を増やし、次年度使用額をその図書購入費に当てる予定です。
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