研究課題/領域番号 |
17K14025
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研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
竹内 慶至 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 准教授 (80599390)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 発達障害 / 自閉症スペクトラム / アクションリサーチ / AD/HD / 暴力 / 学級 / 特別支援教育 |
研究実績の概要 |
今年度は、参与観察および先行研究の検討を中心に研究課題を遂行した。参与観察は合計で9回行い、個別学級に入り込み、児童の学習指導の補助を行いながら観察を行った。また、様々な問題を抱えている学級においては学級担任の支援のため助言を行った。学校現場に対するフィードバックについては今年度は予定していなかったが、個別具体的な事案について、その都度学級担任、校長等と議論を行い、調査内容のフィードバックに努めた。当初の予定では初年度より聞き取り調査の実施を計画していたが、担任や校長らとの長時間にわたるディスカッションの際に情報収集も行ったため、個別の聞き取り調査は見送った。先行研究の検討については、世界各国のインクルーシブ教育の状況、特別支援教育や発達障害の動向、質的研究の分析法・方法論について、資料収集及び資料の読み込み、検討を行った。参与観察を通して、学校現場においては特に児童の暴力的・衝動的な振る舞いに対する対応方策に苦慮している状況、教員集団がかつてに比べ流動的になったことによる諸問題の顕在化、保護者対応に苦慮する学校の現状があること等の論点が浮かび上がってきた。これらの論点については、発達障害との関連性についても検討を加えるとともに、今後、個別事例に対する具体的な対応方策を検討していきたい。本研究で得られた知見については、2018年2~3月に実施した公開講座において紹介し、研究成果の社会還元にも努めた。公開講座には定員以上の申し込みがあり、発達障害に対する社会的関心の高さが窺えたが、他方でこの問題に対する具体的方策に関する研究蓄積の不十分さを痛感した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学校での調査を9回行い、当初の予定通りデータ収集を行った。また、当初計画では次年度以降であったが、調査で得られた知見のフィードバックを個別事案ごとに行った。当初予定していた聞き取り調査については、学校現場において複数回、長時間にわたるディスカッションを行い、その際に情報収集を行ったため、次年度以降に実施することとした。また、海外におけるインクルーシブ教育や特別支援教育、質的調査等に関する先行研究の資料収集と検討も行った。以上の点から当初計画通りに進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き学校調査を実施する。2018年度前半に学校長及び学級担任に対する聞き取り調査の準備を行い、後半には数名に対して聞き取り調査を実施する。以上のフィールドワークで得られたデータ及び先行研究の検討結果をふまえ、発達障害児童が「包摂」されるための条件の検討を行う。
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