本研究では、アクションリサーチの手法を取り入れ、学校現場の教員と共に考え、実際の実践に関与(介入)しながら、学校において発達障害のある児童を包摂するための条件を考究した。フィールドワークの結果、児童の包摂のためには、それまで当該学校が培ってきた「学校文化」がカギとなることが示唆された。具体的には、教員の意識、教職員組織や教職員の関係性、学校を取り囲む地域や保護者の態度・眼差しなどが重要であることが分かった。ただし、近年、学校現場に「医療的な見方」が広がり、それまで学校文化を支えていた「原学級保障」という「包摂の思想」が岐路に立たされている現状も浮き彫りとなった。
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