研究課題/領域番号 |
17K14026
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野田 文香 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (20513104)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国家資格枠組み(NQF) / モビリティ / 質保証 / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
学位や資格など高等教育を含む教育訓練機関から生み出されるあらゆる「qualifications(資格)」について、その保有者に期待するコンピテンスの内容や水準を明確化し、さらに学術あるいは職業モビリティの促進などを図る「国家資格枠組み(National Qualifications Frameworks:NQF)」が、現在、世界的に拡大している。一方で、その背後にある政治社会的課題や運用の実態については明らかにされているとは言い難く、NQFを有しない日本において策定の是非を議論する根拠情報が十分に揃っていない。本研究は、現行のNQFの動向研究を踏まえ、NQFの策定プロセス・枠組み・活用状況を分析し、運用の課題を整理・類型化する。さらに具体的事例として、特に非職業系の学問分野と労働市場との接続に社会的ジレンマを抱えるフランスのNQFを取り上げ、学術・実践の両面から日本版NQFの策定可能性に関する議論に資する示唆を得ることを目的とする。平成30年度は、各国のNQFの情報が記述されているインベントリを基礎資料とし、本研究の焦点となるフランスNQF(RNCP)の活用状況を相対的に捉えるため、ドイツNQF(DQR)やアメリカNQF(CF)といった異なる設置形態、活用の動機や課題をもつ事例についても調査を進め、NQFに期待する役割や機能における国による違いを整理した。成果は著書(分担)にまとめるとともに、講演会においても発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、各国NQFの動向調査を行う欧州職業訓練開発センター(CEDEFOP)の担当者と意見交換を進め、NQFの活用状況をまとめたインベントリや関連資料の分析を行った。また、本研究の焦点であるフランスNQF(RNCP)について、RNCP策定の歴史的経緯や枠組みの内容、活用状況や課題などを明確にした。成果については、学会および講演会などで報告を行い、31年度5月に刊行予定の著書(分担)にてまとめた。この点において、当該研究は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、NQFの世界的動向や課題に関する調査を進める。NQFの最新動向については、欧州職業教育訓練開発センター(CEDEFOP)のNQFに関する資料分析を行うとともに、担当者との意見交換を進める。またフランスNQF(RNCP)の活用状況を引き続き調査し、NQF活用のパターンを明確にするため、他国の事例についてもいくつか整理を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究にかかわる情報収集および成果報告の場として、当初予定していた海外での会議参加計画を一部変更し、国内で開催された国際会議に出席したため、旅費の使用額に変更が生じた。前年度繰り越した分については、引き続き分析活動費にあてる予定である。
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