研究課題/領域番号 |
17K14029
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
薄井 洋子 東北学院大学, 英語教育センター, 助教 (50756046)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ダンス / モーションキャプチャ / ICT / 教科教育 |
研究実績の概要 |
近年日本の中学校の体育科においては、ダンス領域の学習が必修となり、創作ダンスに加えフォークダンスや現代的なリズムのダンスなどが指導されている。体育の場合、必修化以前は、ダンスの学習といえば、女子だけということがほとんどで、そのため、ダンスを指導した経験がなかった教師が多くいる。さらには、そもそもダンスをしたことのない教師も多く、ダンスの指導に関して不安を覚えている教師が多くいると報告されている。 また、現在、日本の学校教育では、どの教科においても「学びあい」が重要視されている。特に体育の場合、他の教科に比べ、「わからせる」「おぼえさせる」「できるようにさせる」といったことが少なく、教師が指導するというより、生徒同士の「学びあい」を中心とした授業を組み立てやすい。したがって、現在の体育の授業は、教師が積極的に教えるというより、生徒同士で良いところや悪いところを指摘し合いながら学習するというスタイルが取られる。このような状況の中ダンスを学習する者は、熟達者から指導を受けるのではなく、自分たちで学び合いながらダンスを上達させている。 そこで本研究では、モーションキャプチャにより、指導者がいないダンス学習者のためのダンス用教材を作製した。具体的には、ダンス上級者の踊りをモーションキャプチャというシステムで計測し、そしてそのデータをもとにCGアニメーションを作製することで、「CGアニメーションを活用したダンス用教材」を開発した。また、それをダンス学習者の練習に活用してもらうことで、ダンスの上達に役立つのかどうかを検証することを目的とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
そこで30年度は、ヒップホップダンス上級者の踊りをモーションキャプチャで計測し、そのデータをもとにCGアニメーションを作製し、「ダンス練習用CG教材」を製作した。その練習用教材を高等学校のダンス部に所属する高校生15名に評価をしてもらった。なお、高校生らにはダンスの顧問はいるもののダンスの熟達者ではない。そのため基本的には生徒らで考えながらダンスの上達を目指している。また、全員ヒップホップダンスの初心者であった。 実際には、高校生15名に「ダンス練習用CG教材」を活用してもらったところ、多くの生徒が、ダンスの練習に活用できると答えた。その理由としては、ヒップホップの動き(手や足の動かし方、関節の動き)が特にわかりやすかったからであるという。「ダンス練習用CG教材」がダンスの練習に役立つものであると示唆された。さらに教材の問題点や学校教育への応用が可能かどうかについても検討した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、比較実験を通して「ダンス練習用CG教材」の有効性について明らかにする必要があると考える。上達の度合いは指導者の評価とモーションキャプチャのデータの変化をもとに検討する。また、作製したCG教材に改良を加え、再度ダンス学習者には、「ダンス練習用CG教材」を活用してもらい評価してもらう。また、体育科のダンスに求められる効果的な教材とその学習法を提案する。加えてダンス学習者らを観察・ヒアリングすることでその効果や問題点も考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度予定していた研究成果の発表を今年度に持ち越したため、繰越額が生じた。今年度はすでに、6月に昨年度予定していた研究成果の発表を行う予定である。 今年度に関しては、計画通り支出する予定である。
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