本研究は、保育者を目指す学生が音楽づくりを通して表現する力を獲得するための実践プログラムを開発し、その有効性を検証することである。2019年度は、①プログラムの修正と検証、②2018年度の研究成果の発信を行った。 ①に関しては、プログラムの開発の中でも、音楽づくりの題材に焦点を絞った調査を行った。具体的には、まず、2018年度までに実施した音楽づくりの授業の結果を分析し、これまでに計画したプログラムを修正した。次に、音楽づくりの活動において、どのような特徴をもつ題材が学生の表現力や創造性の発揮に効果的かをこれまでの実践に基づいて検討し、表現する力を育成するための題材を探った。題材は、造形作品、言葉、絵本の中から選んだ。そして、これらの題材を取り入れたプログラムを保育者を目指す学生に実施してデータを収集した。データは受講生の音楽づくりの過程を記録した映像、発話を記録した音声、タブレット型コンピュータに記入された絵図、受講生が記録した省察レポートである。これらのデータの中から、省察レポートを分析し、タブレット型コンピュータに記入された絵図から、受講者が視覚情報と聴覚情報の何を関連付けたのか、造形作品をどのように解釈して音楽として表現したのかを検討した。 ②に関しては、2018年度に実施したプログラムの分析から、受講生が他者と音楽づくりを行う中でアイデアを発想し、音楽を構成していく過程の仮説的理論を生成し、国内学会で発表した。
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