研究課題/領域番号 |
17K14037
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
高井 吾朗 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60632784)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 練り上げ / メタ認知 / モニタリング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,協同学習,及び数学的モデル化におけるメタ認知の指導法を構築することであり,平成29年度は,算数科授業における協同学習(練り上げ)におけるメタ認知の役割について明らかにすることを主目的とした。協同学習におけるメタ認知の育成はIMPROVEモデルが有名であるが,日本独自の協同学習の形である「練り上げ」に対応したモデルになっているかは,不明な点が多い。 練り上げについてまとめると,算数科授業,特に問題解決型授業における活動場面の一つであり,自力解決の後に行われるものである。また練り上げの中にもいくつかの過程があり,妥当性の検討,関連性の検討,有効性の検討,自己選択という流れが一般的である。 児童は,こうした過程の中で様々なコミュニケーションを行うが,その際にはたらくメタ認知として,マクロなモニタリング(例:今は何を議論する時間か)とミクロなモニタリング(例:自分の考え方は妥当性があるのか)の両方が必要となると結論づけた。ミクロなモニタリングは,コミュニケーションの内容に対するものであり,マクロなモニタリングはコミュニケーションの状況や環境に対するものである。つまり,その状況に応じたミクロなモニタリングを行うために,その状況を理解するマクロなモニタリングが必要になるということである。 IMPROVEモデルは1時間の授業を想定したモデルになっているが,練り上げは授業の1場面であり,その過程はさらに細分化されるものである。故に,練り上げに焦点化した指導モデルとしては適切とは言えないため,新たな指導モデルが必要となることは明白である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,算数科授業における協同学習(練り上げ)におけるメタ認知の役割について明らかにすることが主目的であり,そのために練り上げに関する先行研究から,練り上げの特徴を捉え,その考察結果を元にメタ認知の役割について明らかにしている。 なお,本研究の目的である協同学習(練り上げ)におけるメタ認知育成のための指導モデルについては,最終年度での完成を予定しているが,IMPROVEモデルの援用が難しいため,来年度も継続して練り上げの指導法について考察を行い,目的の達成を目指していく。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,本研究のもう一つの目的である数学的モデル化におけるメタ認知の役割を明らかにすることを主目的とする。そのために数学的モデル化に関する先行研究を考察していくが,教材開発,指導法,数学的モデル化のモデル,数学的モデル化能力など関連する研究は多岐に渡るため,まずはメタ認知と関連が深いと考えられる数学的モデル化能力についての研究に焦点化していく予定である。 また,練り上げと数学的モデル化の関連性については,「数学教育における練り上げについての一考察」というタイトルで平成29年12月に雑誌論文(査読無)に投稿しており,平成31年度の最終目的を達成するために今後も考察を続けていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集に当初予定していた学会の一つが,所属する大学において開催されたことが理由である。 次年度の使用計画としては,メタ認知研究のための研究会への出張を予定している。
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