本研究の目的は、環境・経済・社会のバランスある発展の方向性(目標)を示すドイツの「持続可能なトライアングルモデル(Dreieck der Nachhaltigkeit)」を用いた地理におけるESDの授業理論並びに授業開発を行うことである。そのために本研究では、ドイツにおける地理カリキュラム・教科書単元の検討、現地での授業見学を通じて、地理学習における「持続可能なトライアングルモデル」を用いた学習効果およびその意義について明らかにしたうえで、授業開発に取り組む。 最終年度である令和元(平成31)年度では、2か年の成果を踏まえて、授業開発および実践を主として実施し、追加の海外調査も実施した。 1月に宮城県の公立高校において現場の地理教員と協働して、地理Aおよび地理Bにおいて「持続可能なトライアングルモデル」を用いて持続可能な開発の考え方を学ぶ授業を開発し、実践した。今後は、開発した授業内容を整理して振り返り、学会誌に投稿する予定である。 また11月にドイツのラインラント=プファルツ州教育省を訪問し、ギムナジウム担当官(社会系教科)およびESD担当官の2名から、同州におけるESDの取り組み(州独自の取り組み、特徴のあるESD実践をする学校の紹介など)の現状について説明を受けるとともに、聞き取り調査を行った。 本研究の成果は、学会誌や紀要等に論文を投稿し、掲載された。また「ESDの視点を取り入れて地理学習をデザインする方法」というテーマで現職高校教員向けの講演も実施し、研究成果の学校現場への還元に務めた。
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