本研究の目的は,小学校外国語活動における子ども同士のスモールトークに対するピアレビューを支援するシステムを開発し,そのシステムを用いた効果的な形成的評価を検討することであった.1年目は本研究の目的達成を支援するシステムを開発し,実際の学校現場での実践をとおして機能を検討した.2年目は,1年目の機能検討で得られた課題をもとに,形成的評価の観点を「Smile」「Clear Voice」「Eye contact」「Gesture」「Reaction」「Contents」の6つに限定し,子どもたちのピアレビューを支援する機能を拡張した.また,1年目と同様,学校現場での実践をとおして機能を検討した.最終年度は,より活発なコミュニケーション活動を促すために,形成的評価の観点を「Echoing」「Response」「Comment」「Other words」「Question」の5つに再設定しシステムに実装した.なお,Echoingは主語を変えて繰り返すこと,Responseは応答すること,Commentは賞賛や意見などを伝えること,Other wordsは言い換えて伝えること,Questionは新たに質問することである.そして,主体的に課題解決を行おうとする児童の育成を目指し,システムを活用した実践を行った結果,子どもたちのコミュニケーション活動や評価内容に変容が見られた.本研究課題で得られた結論として,小学校外国語活動において活発なコミュニケーション活動の促進を支援するシステムを活用した学びは,コミュニケーション活動に対する子どもの視点を変容させる可能性があることが示された.
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