月経随伴症状をもつ思春期女子が増加している中、症状に適切な保健行動がとれていない女子が多く存在する。本研究は月経随伴症状の中でも思春期女子の日常生活に及ぼす影響が大きいとされる月経痛に焦点を当て、月経痛に対する受診行動に影響を及ぼす因子を明らかにし、因果的構造モデルを構築することを目的として行った。 1.平成29年度の研究活動:①学校における主に月経随伴症状に関する学習内容を把握する目的で、小・中・高等学校の学習指導要領とその解説およびの体育科・保健体育科の教科書の月経に関連する記載内容の文献研究を行った。結果、月経随伴症状に関する記載の不足を指摘し、月経随伴症状について保健指導で取り扱う一つの根拠を示した。②女子高校生とその母親を対象とした「月経痛に関する認識・知識・受診行動」についての質問紙調査を実施した。③質問紙調査協力校に向けて報告書を配布し、重度の月経痛に悩む女子高校生の現状と早期受診の啓発につなげた。 2.平成30年度の研究活動:前年度実施の質問紙調査の分析から、月経痛により婦人科受診した女子高校生と母親の18組の受診から受診後の課題を明らかにした。 3.令和1年度の研究活動:①月経痛により婦人科受診した女子高校生と母親18組について論文を発表した。受診までの経緯やエストロゲン・プロゲスチン配合薬の内服状況など報告した内容の多くは先行研究で見当たらないもので、受診した女子の抱える課題を考える上で貴重な報告となった。②平成29年度に実施した質問紙調査の分析から、月経痛により婦人科受診した経験のない女子高校生と母親の受診の否定群と肯定群における特徴を明らかにした。女子高校生の月経痛による婦人科受診に関する因果的構造モデルを構築し、女子高校生が重度の月経痛に悩んだ際に受診に至るための月経教育プログラムの開発に向けて重要な示唆を得た。③研究成果報告書の作成(作成中)
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