研究課題
本年度の研究目的は,算数科の話し合い活動における「論点を整理する力」を育成するための学習指導モデルを開発し,その妥当性や効果について明らかにすることであった.そこで,学習指導モデル作成のため,次の三点からの議論を行い授業設計を行った.第一に,「論点を整理する力」を視点に据えた授業のねらいの明確化.第二に,授業のねらいに即した教材の選定および開発.第三に,学習指導法および教授法の選定についてである.これら三点に関する議論を十分に行ったのち,学校現場で勤務する研究協力者の協力のもと,実験授業を計画・実施した.実験授業は,複数の学年で行われ,それぞれの授業データを分析,考察した.分析の結果からは,各学年の子どもが発揮する「論点を整理する力」には違いがあること.またその力の育成には,各学年段階で目指すべき指導があることを明らかにした.さらに,その力を発揮させる機会を授業の中で十分に保障していくことに加え,そこでの教師の振る舞い(役割)が重要である点についても指摘した.また,本実験授業では,本研究課題の期間に作成された「発言の意図」を捉える記述枠組みを活用することから分析を行なってきた.本枠組みは,本年度多くの授業にあてはめた検証を繰り返す中で,その妥当性および信頼性について絶えず検討を行なってきた.その記述枠組み構築の過程を記した論文は,日本数学教育学会第52回秋期研究大会において学会賞を受賞した.さらに,本記述枠組みを用いて学習指導モデルの検証を行った論で文も,2019年度日本科学教育学会第3回研究会においてベストプレゼンテーション賞を受賞するなど,得られた知見を世に発信することができた.さらに,本年度は得られた知見に基づき,「論点を整理する力」の育成を目指した学習指導モデルを簡略化した資料を作成することから,島根県,鳥取県で行われた教員研修等で配布し啓蒙活動を行った.
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日本科学教育学会研究会研究報告
巻: 34 ページ: 29-34
https://doi.org/10.14935/jsser.34.3_29
日本数学教育学会第52回秋期研究大会発表集録
巻: 52 ページ: 89-96
Proceedings of the 43rd Conference of the International Group for the Psychology of Mathematics Education
巻: 4 ページ: 97