最終年度は、小学校国語科における話し合い学習指導に関する実証的研究を推進するため、大きく分けて以下の3つの研究に取り組んだ。 1点目は、小学校及び中学校の国語教科書を対象とした教材研究である。これまでの2年間の研究成果を踏まえ、授業で使用される教材にどのような傾向があるのかを調査した。その結果、振り返り活動の位置づけに違いが見られることや、今後の教材開発の視点について示唆を得ることができた。 2点目は、これまでに収集したインタビューデータの分析である。小学校低学年・中学年・高学年の各学年段階を対象に実施したインタビューデータを再度分析し、学習指導論の有効性について検討した。これにより、文字化資料を活用した学習指導論の価値と課題が改めて解明された。 3点目は、小学校高学年を対象とした授業の分析である。児童が方法知を柔軟に活用するための指導方法を新たに開発し、その効果を検証した。この成果により、国語科の他領域や他教科の学習へ、話し合い学習指導を接続することが可能になると考えられる。 研究期間全体を通して、文字化資料を活用した話し合い学習指導論を小学校の低学年から高学年を対象としたものへと拡大することができ、同時に学習指導論そのものの有効性についても検証することができた。また、文字化資料を活用した指導方法を国語科の他領域や他教科の学習へとつなげる試みにより、自律的に話し合う力を育てるカリキュラムの具体が示唆された。
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