研究課題
本研究の目的は,モデリングの特性を生かし,実世界と関連づけて統計的概念を醸造しながら統計的推論を促す,小学校算数及び中学校数学の授業枠組みを構築し,統計領域の授業改善に活用することである。第4年次では,以下の2点に取組んだ。第1に,前年に引き続き,低学年児童のインフォーマルな統計的推測(informal statistical inference:以下,ISI)の促進において,データモデリング(data modelling:以下,DM)のプロセスを通して生成されるモデルが果たす役割について明らかにした。ISIの活動を含む一連のDMのプロセスが内在する実験授業(小学2年生対象)を,ISIの特質とモデルの思考的役割の視点から分析・考察した。その結果,DMのプロセスを通して生成・共有されたモデルが,データのばらつきや確率的なばらつきの構造について児童なりの,①導出を促す「記述手段」としての役割,②類推を導く「参照物」としての役割,③統一的・包括的な説明を可能にする「説明手段」としての役割を同時的に果たし,児童によるISIの特質の顕在化やその内容の深化を支えていることが明らかとなった。こうした成果に関しては,査読付国内学会誌に掲載決定した。第2に,前年に引き続き,統計的モデリングの学習指導に関するレビューを多角的に実施した。本研究項目は,スウェーデンの数学教育研究者と国際共同研究として行うことができた。本研究項目の成果に関しては,国際学会(ICME14,CERME12)において口頭発表を行うことができた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
科学教育研究
巻: 46 ページ: ー
日本数学教育学会誌 数学教育
巻: 104 ページ: ー
Mathematical Modelling Education in East and West, Springer
巻: ー ページ: 389~400
10.1007/978-3-030-66996-6_32