研究課題/領域番号 |
17K14056
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
有海 順子 山形大学, 障がい学生支援センター, 准教授 (50633921)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 意思表明 / 聴覚障害学生 / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
本研究は「合理的配慮に関する聴覚障害学生の意思表明スキル獲得とその活用過程」をテーマに、聴覚障害学生がどのような経験や要因によって意思表明スキルを獲得し、活用していくのか、その過程ならびに関連要因を当事者の語りから明らかにするものである。 3年目にあたる令和元年度は、大きく2つの内容を実施した。1つは、インタビュー調査データの質的分析により得られた結果(テーマに関するコード、意思表明スキル獲得および活用過程の段階等)をまとめ、第57回全国保健管理研究集会にて発表し、論文として投稿したことである。インタビューデータから、意思表明スキルの獲得や活用に関連する語りを抽出し、内容ごとに分類した結果、75個のコードが生成された。さらに、コード間の関係性を検討したところ、25個のカテゴリにまとめられた。25個のカテゴリの内、15個は「意思表明スキルの獲得過程」に関わるカテゴリであり、①意思表明スキルの獲得前段階、②獲得段階、③活用段階の3つに分けられた。残りの10カテゴリは、「意思表明スキル獲得の促進」に関わるものであり、直接的促進要因と間接的促進要因に分類された。 もう1つの実績として、生成されたコードやカテゴリの精緻化、カテゴリ間の関係性の詳細な検討、そしてコードやカテゴリを用いた意思表明スキル獲得プロセスの図式化に向けた分析に注力したことである。しかし、研究代表者の手術入院・治療継続により研究遂行が予定より遅れ、令和2年度まで事業機関を延長することとなった。 最終年度となる令和2年度では、これまで精緻化してきたコードやカテゴリ、プロセスの図式化をさらに整理・検討し、学会発表や論文投稿など成果発表に注力する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述したとおり、研究代表者の手術入院・治療継続により研究遂行が困難な時期があり、進捗が遅れている。さらに、データの精緻化にも時間がかかり、研究遂行が遅れてしまった。 しかし、今年度のうちに研究協力者との分析会を対面およびweb上にて複数回実施し、データの精緻化、プロセスの図式化を丁寧に進めてきたため、最終年度にあたる次年度では、成果発表に注力できると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は、これまでの分析結果を踏まえ、以下の2項目について遂行する。 (1)聴覚障害学生の意思表明スキル獲得および活用過程の図式化の精緻化、ならびに過程と関連要因、対象者の教育歴の違いが与えている影響等の分析をさらに進める。 (2)(1)の結果を整理・まとめた上で、関連学会の学術雑誌への論文投稿を行う。さらに、全国高等教育障害学生支援協議会や日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワークのシンポジウム等にて成果発表を行うことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の手術入院・治療継続により研究遂行が困難な状態が3ヶ月ほど続いたことで進捗が遅れたため、補助事業機関延長を申請し、次年度使用額が生じた。 今後の計画として、研究協力者との分析会実施や成果発表のための出張旅費、分析や成果発表を進める上で必要な物品購入費、印刷費等にあてる予定である。
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