研究実績の概要 |
東日本大震災後の原発事故の影響から避難生活を経験した発達障害特性を持つ子どもと保護者を対象に質問紙調査を実施した.併せて,避難経験のない福島県内陸部に居住する比較対象群にも同質問紙調査を行った.その結果,対象群57世帯[保護者57名,発達障害特性のある子ども71名,きょうだい児17名],比較群44世帯[保護者44名,発達障害特性のある子ども51名,きょうだい児11名]から回答を得た. ①保護者:K6が10点以上の割合は,対象群22.8%,比較群29.5%であった.心的外傷後ストレス症状尺度であるIES-Rの合計点のカットオフ(25点)以上の割合は,対象群10.5%,比較群6.8%であった.各尺度の合計得点を対象群と比較群で比較したところ,K6合計得点では有意差はみられなかったが,IES-R合計得点において有意差がみられた(Mann-Whitney検定,p<0.01). ②発達障害特性のある子ども:年齢は対象群M9.56歳±2.80,比較群M9.67歳±3.20であった.SDQ困難さ総スコアをLow Need(0-12点)・Some Need(13-15点)・High Need(16-40点)に分類したところ,対象群31.0%・21.1%・47.9%,比較群33.3%・21.6%・43.1%であった. ③子育て環境:独自に作成した[遊ぶスペース(自宅)][近所の公園や遊び場][大気環]や食べ物の安全][生活音の問題]等の快適さについての質問項目(5件法)を実施した.SDQ困難さ総スコアと“子育て環境”項目について相関分析行ったところ,対象群は[園や学校の施設の使いやすさ](r=0.30,p<0.05)と[生活音](r=0.30,p<0.05),比較群は[遊ぶスペース(自宅)](r=0.33,p<0.05)にやや相関がみられた. 上記,R1の結果を踏まえ,今後は3年間の解析を行う。
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