本研究は聴覚障害者のための音認知テストの構築を目的とした.聴取者に関する要素(聴力,障害の種類,音楽経験,音への関心など)や,刺激音に関する要素(音響特徴量,背景情報,音の類型など)を含めた総合的な検討が必要であることがわかった.また,環境音そのもののデータ不足およびその音に対する正解・不正解データ不足の両面が課題であることが明らかとなり,環境音およびそのメタデータを収集・蓄積するためのプラットフォーム構築に取り組んだ.その結果,社会的・文化的コミュニティの違いから正解が一意に定まらないことが示唆され,回答者一人一人の特性を考慮したデータ統合手法が本質的な課題であることが明らかとなった.
|