研究課題
筋疾患には、さまざまな病気の形態が含まれるが、進行性に症状が悪化していき、病状の変化によって、その個人の生活、生活の満足度や生活の質(QoL)も大きく左右されてしまうことになる。研究の成果として、筋疾患のひとつである筋強直性ジストロフィーの患者では、QoLが病気の重症度や病気に罹っている期間だけでなく、認知機能や心理的要因と関連することを見出した。患者支援のためには、これらの観点からのアプローチが必要と考えられる。本研究においては、そのような筋疾患を抱えながら生活する個人のQoLを規定している要因を明らかにし、その支援につながる方策を見出すことを目的として行った。本研究の学術的な意義としては、筋強直性ジストロフィー患者において、認知機能や抑うつ、アパシーなどとQoLが関連することを示したことにある。社会的な意義としては、筋強直性ジストロフィーにおける疾患特異的QoL評価方法、患者報告式アウトカム指標を日本人患者において利用可能としたことがある。個々人のQoLは、一般的な評価方法で評価できる場合もあるが、神経筋疾患など症状が重篤な場合には、疾患に対応した評価が必要になるため、今後の治療開発においても重要な知見となる。QoLを左右する要因として、疾患の症状が大きくかかわっていることは言うまでもないことであるが、そのような症状の中でも、複数を比較して、どの症状がQoLに関連しているのかについて検討した。その結果、筋力低下に加え、疲労感と筋強直の症状がQoLに影響しており、これらは他の要因を考慮したうえでもQoLを予測する要因となっていた。したがって、治療法開発において、患者の生活の質の向上を考えていくためには、これらの問題に対する効果を見込むことのできる方法を開発していくことが求められる。
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