本研究の目的は、通常の学校の特別支援教育コーディネーターの専任化によりコーディネーターの業務課題がどのように変容するのかについて量的検討と質的検討を通して明らかにするとともに、コーディネーターの専任化に伴うメリットとデメリットの両面について検討することであった。 2019年度は、2017年度に行った質問紙調査による量的検討の結果を再整理し、その成果を特殊教育学研究(第56巻第5号)において公表した。その中で、①校種に関係なく、兼任のコーディネーターに比べて専任のコーディネーターの方が、他の教職員とのコミュニケーションや子どもの実態把握・情報収集を頻繁に行っていること、②個別指導に傾倒してしまう専任のコーディネーターは現在のところそれほど多くはないこと、③専任のコーディネーターと兼任のコーディネーターで業務負担に差はないこと、④専任のコーディネーターと兼任のコーディネーターで自身の専門性に対する評価に差はないことを示した。一方で、コーディネーターの担当授業時数や他の校務分掌、部活動の顧問等に対するいわゆる「一定の配慮」の影響について検討すること、特定のコーディネーターについて、兼任だった時期と専任になった時期とで業務内容や業務課題がどのように変容したかを調査するなど、変容を追うような縦断的な検討をすることが課題として残された。 また、量的検討と質的検討の結果を合わせ、調査結果報告書を作成し、調査対象校に結果のフィードバックを行った。特に、コーディネーターの専任化に伴うメリットとデメリットおよび今後の課題について報告した。
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