研究課題/領域番号 |
17K14092
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
堀 泰明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (50443221)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | X線回折 / X線微小角散乱法 / 微小周期構造 |
研究実績の概要 |
既存のX線微小角散乱装置について、回折信号の最適化および2次元検出器の設置による高度化を実施した。これまで当該装置を用いたナノ周期構造サンプルのピッチ計測に成功していなかったが、回折信号効率の評価、ノイズ源の除去によるSN比向上、回折プロファイル非対称性の解消等により、240nm周期構造サンプルのピッチ計測に初めて成功した。 ナノポア径計測には当該装置の信号効率の最大化が課題となる。ナノ周期構造サンプルの計測を通して、装置のアラインメントやサンプル構造の不均一が信号効率に大きく影響することを見出し、これらを改善するためにアラインメント光学系の開発や、電子線描画装置を用いた高精度な周期構造サンプルの準備を進めた。また、これまで回折信号の取得に使用していた点検出器を2次元検出器に取り替えて、回折信号の空間分布情報のシングルショット検出とそれに基づく測定スループットの向上に取り組んだ。 年度の中途でX線源のトラブルでX線発生が得られない状況となり、その対応に多くの時間を費やすこととなったが、当研究所開発のX線微小角散乱装置でナノ周期構造サンプルの計測に成功したことは大きな進展であり、今後はこれを用いた基礎評価に基づく装置の改善が見込める。 本研究において、ナノポア試料からの弱い散乱信号をいかに高効率に検出するかが成否を分けるとの認識に達しており、X線源トラブル解消後に当該装置の改善をさらに進めることで、本研究目的であるナノポア径および深さ計測の実現に取り組んでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度研究活動中にX線源のトラブルが発生し、X線発生が得られない状態となった。原因究明およびその復旧にはX線源製造者による検査が必要であるが、先方の時間的制約から十分な協力が得られず、年度末時点でいまだ復旧していない。これらの事情から当初計画通りの成果を得るには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
トラブルが発生したX線源の復旧を早急に進め、本研究の再開をまずは目指す。測定が実施できない時間を利用して、ナノポア試料の準備、想定される信号の解析方法の検討やプログラムの作成を進める。X線源復旧後は、新たに入手した周期構造サンプルを用いた信号発生効率の評価と2次元検出器を用いた周期構造のピッチ及び高さ方向情報の取得を試みる。これは散乱強度分布からナノポア試料の径及び深さ情報を得るための予備測定となる。この後、ナノポア試料を用いた散乱信号の発生効率の最適化および評価測定を順次進めていく方針である。
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