研究課題/領域番号 |
17K14096
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
甲斐 洋行 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (00760167)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロニードルアレイ / 生体センシング / 皮膚組織液 |
研究実績の概要 |
多孔質構造を持つマイクロニードルアレイを皮膚組織液の多様なセンシングに用いるための基盤技術として、光学的センシングおよび電気化学的センシングの二つの方法について基盤技術の開発に取り組んだ。さらに、光学的センシングについてはグルコースを対象としてセンサ分子の導入とその特性の測定も行った。
光学的センシングにおいては、センサの応答をどのように取得するかという問題がある。そこで、一つの多孔質マイクロニードルアレイにおいて、細孔を有する部分(センサ部位)と細孔を有しない部分(基板)を作り分ける方法を開発し、これにより、皮膚に貼り付けたまま針部分におけるセンサの応答を体外から直接観察できる可能性を示した。このシステムを皮膚組織液のグルコースセンシングに応用するために、内部に修飾するための蛍光性グルコースセンサ分子を合成した上で、内部への修飾方法を検討した。濃度の異なるグルコース溶液に浸漬した後に蛍光強度を測定したところ、グルコース濃度が増加するにつれて蛍光強度が増大する傾向が示された。
電気化学的センシングにおいては、本来絶縁体である多孔質マイクロニードルの表面に導電性のコーティングをする必要がある。そこで、細孔表面の無電解ニッケルめっきおよびそれに続く無電解金めっきの方法を検討した。詳細な条件検討により、多孔質マイクロニードルの細孔表面を金で被覆する方法を見出した。これにより、多孔質マイクロニードルによる低侵襲・高感度な生体用電極の可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多孔質マイクロニードルアレイを用いた光学的センシングと電気化学的センシングのための基盤技術の開発に目処が付いたため。
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今後の研究の推進方策 |
モデル皮膚や実際の生体における生体センシングを実証する。センサの情報を読み取るための小型デバイスを作製する。さらに、複数の測定対象を一つのマイクロニードルアレイに統合するために、表面修飾のパターニング方法についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を計画していた装置の一部は研究室に設置されているものを使用できたため、購入しなかった。次年度はその分を別の測定装置あるいは消耗品(生体試料など)の購入に使う予定である。
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