本研究では、有機半導体薄膜の成長初期過程を明らかにすることを目的として、水晶振動子マイクロバランスを用いた分子付着量測定系の構築と薄膜成長のin-situ評価を行った。代表的な有機半導体であるペンタセンについて、薄膜成長初期における分子付着量の時間変化を測定したところ、入射分子フラックス一定の条件にも関わらず、成長開始直後に階段状の付着挙動の変化が見られた。この結果は、吸着直後の不安定な状態から準安定的な状態を経由して安定核が形成されると考えることによって矛盾なく説明されることが分かった。また、このモデルによる解析から、各過程における活性化エネルギーを見積もることに成功した。
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