研究課題
平成29年度は,3次元的に大伸縮しかつ高い残留磁化をもつ永久磁石エラストマエラストマー(PME)を創生するため,粒子径および濃度の異なるネオジム微粒子を分散したPMEを作製した。パルス励磁型磁気特性計測装置を用いて試料を着磁し,作製した試料の磁気異方性を磁化―磁場曲線を計測することで評価した。その結果,ネオジム微粒子の濃度が増加するに伴い残留磁化および保磁力が増加することを明らかにした。また,3次元CTスキャンを用いて着磁前後の内部構造を明らかにした。着磁前はネオジム粒子が安定的にエラストマー内部に分散するのに対し,着磁後は粒子同士の磁気双極子作用力により引力が作用し,ネットワーク構造を形成することを明らかにした。平成30年度は,構造異方性を有するPMEを試作し,その効果を磁化―磁場曲線により評価することで,保磁力および残留磁化がより大きいPMEの作製に成功した。PMEの最大の特徴は,磁気異方性を有し,かつ可逆的な大伸縮を可能とする粘弾性体である点である。そこで,その動的な機械的性質(貯蔵弾性率と損失弾性率)と磁気特性を同時に計測し得る磁場検出型レオメーター(平成29年度より作製開始)を使用し,無磁場下において粒子の体積濃度および着磁の有無が動的な機械的性質(貯蔵弾性率と損失弾性率)に与える影響を明らかにした。平成31年度は,変形時の表面磁束変化の測定を実施し,広義の逆磁歪効果を確認した。また,圧縮過程の磁気特性の変化を理論的に考察するため,ビオサバールの法則に基づく理論解析を行い,上記逆磁歪効果は,圧縮に伴い着磁されたネオジム微粒子が並進・回転することに起因することを明らかにした。また振動エネルギーハーベスタを試作し,その機能を検証した。直径18mm,高さ18mmの円柱型PMEを用いて,低振動数~10Hzかつ大振幅~5mmで,約2.3Vの発電に成功した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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