研究課題
若手研究(B)
熱電効果の性能向上を目標として、電子が伝導する際に重要となるエネルギーバンドを制御する、バンド形状エンジニアリングによる理論的研究を行った。結果として、LaOBiS2と呼ばれる既存の熱電物質の元素置換を仮想的に行ったLaOAsSe2において、変換効率に相関する無次元性能指数2という非常に大きな値が期待できることが判明した。また、Zintl相化合物、PtCoO2、BiCuSeO系についても研究を行い、高性能の起源と新規物質の提案を行った。
物性理論
熱電効果の性能向上を目指した研究で、エネルギーバンドと呼ばれる電子状態を示す構造の形状を変化させることで高性能化を目指すという研究はこれまでほとんどなかった。本研究では、元素置換によりバンド構造の形状を制御できることを示し、仮想物質ではあるが、大きな熱電性能を生み出しうる物質を理論的に発見することが出来た。本研究により熱電物質開発の新しい指針を提案できたことから、既存の指針と組み合わせることで高性能物質開発の幅が広がることが期待される。