研究課題/領域番号 |
17K14115
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 基金 |
研究分野 |
薄膜・表面界面物性
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大江 弘晃 金沢大学, 数物科学系, 博士研究員 (20793194)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 局所的溶解析出 / FM-AFM / 原子分解能 / 大気環境 / KBr / 水和層 |
研究成果の概要 |
本研究では、低湿度(RH20%)から高湿度(RH90%)までの広い湿度範囲で動作する大気型周波数変調原子間力顕微鏡を開発した。開発装置を用いて湿度制御した大気中でKBr単結晶の(001)劈開面を観察し、微量の水が吸着した際の固体-水界面特性を解析した。 RH30%-45%の低湿度では、原子フラットなKBrテラス上は1分子厚さの水膜で一様に覆われ、KBrの溶解析出はほとんど生じなかった。RH50%-60%の加湿環境では、KBr上に厚さ約3nmの水膜が形成された。3nmの水膜で覆われたKBr結晶表面に、AFM探針を用いて精密制御した力を印加すると、原子単位の結晶溶解を誘起できることを明らかにした。
|
自由記述の分野 |
表面物理
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、周波数変調原子間力顕微鏡を用いて、最大で数nm程度の吸着水薄膜で覆われた固体表面の構造観察を行った。固体表面および固体-水界面の水和構造を原子・分子分解能で可視化した本研究は、大気環境での実空間高分解能表面解析技術の最先端を切り拓いている点で学術的に意義深い。本研究で得られた、極薄水膜内での探針先端で印加した力で誘起した結晶溶解についての知見は、力学的に化学反応の制御を試みるメカノケミストリー技術として走査プローブ顕微鏡法が発展する可能性を示している。また、我々の生活環境に相当する湿度が変化する大気環境での原子・分子分解能表面解析が実現した点も重要な成果である。
|