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2018 年度 実施状況報告書

自立安定性を備えた光共振器による微量水分計の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K14120
研究機関東北大学

研究代表者

上杉 祐貴  東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60780682)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード増幅共振器 / CEAS / 光コム分光 / Kerr共振器ソリトン
研究実績の概要

本年度は主にモード同期パルス動作のFeedback-free cavity (FFC)の研究に取り組んだ.過去に高エネ研グループと共同で100程度の低フィネス共振器を使って部分的に原理実証に成功している系であるが,このスキームをそのまま1万級の高フィネス共振器に適用できるのか検討を行った.フィネス54000の共振器を使用して実験的に検証を試みたが,残念ながらモード同期発振には至らなかった.次に光パルス伝搬の計算コードを開発して,モード同期発振可能なパラメータが存在するかシミュレーションを使って検証した.結果,現在使用している共振器ミラーでは群遅延分散が大きすぎ,発振器光路の途中に負分散素子を挿入して分散補償することがほぼ不可能なことがわかった.ゼロ分散ミラーの使用が重要であることが確認されたが,そのような鏡で共振器を構築すると達成可能なフィネスが制限される問題があり,今後の課題である.
計算コードを開発する過程でDissipative Kerr solitons (DKS)と呼ばれる新しい光パルス蓄積技術の存在を知り,その計算コードの開発も行った.DKSでは周波数安定化したCWレーザーで蓄積共振器をポンプし,4光波混合を利用してその内部に光ソリトンを形成する.FFCとは原理が異なるが,CWレーザーによるポンプだけで光パルスが蓄積されるため,装置の設計思想としては近しい系であると言える.DKSは近年光コム分光の分野で注目されているが,共振器増幅吸収分光法(CEAS)に応用した例は報告されていない.開発した計算コードを基に,DKSによる光コムCEAS装置の検討を行っていく予定である.
以上に加えて単一モードで発振するCW動作のFFCの実現を目指し,装置の設計と開発に着手した.超挟線幅のFiber Bragg gratingと短FSR共振器を組み合わせてこれを実現を目指している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

単一モードCW動作のFFCを開発する前に,モード同期化FFCの実現可能性について集中的に検討を行った.そのため当初計画と異なりまだ吸収分光を実証できていない.しかしDKSを利用した新しい形式の光コムCEAS装置を着想することができた.H31の計画を前倒しして先に取り組んだ形になる.

今後の研究の推進方策

単一モードCW発振によるFFCの実現を行い,光学装置としての特性を評価する.10 GHz級の超挟線幅FBGを使って正味の利得帯域を狭め,短FSR共振器を使用して単一モードを達成する.発振波長はFBGの温調または伸張により0.5 nmの粗調整が可能であることを確認しており,またGHz単位の微調整は共振器PZTを使用して行う予定である.その後,CO2を試料に吸収分光の実証を行う.
CW装置の開発の後にはDKSを利用した光コム蓄積共振器を開発し,CEAS装置への展開を目指す.

次年度使用額が生じた理由

当初は開発した光共振器装置による吸収分光の実証までを計画していたが,本年度にそれを実行しなかったため物品費に余剰が生じた.次年度にこの先送りした吸収分光の実証を行う.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] フェムト秒レーザーで駆動するチップ陰極型電子源の開発2019

    • 著者名/発表者名
      上杉祐貴,渡辺和樹,佐藤俊一
    • 学会等名
      第66回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] レーザー干渉加工による電子線ホログラフィック回折格子Ⅱ2018

    • 著者名/発表者名
      上杉祐貴,福島涼太,佐藤俊一
    • 学会等名
      第79回応用物理学会秋季学術講演会

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公開日: 2019-12-27  

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