研究課題
本年度は単一周波数モードで発振するFeedback-free Cavity (FFC)の実現に注力した.近年のファイバー加工技術の進展により,空間素子では実現が困難であったような,0.1 nm以下の帯域幅を有する狭帯域フィルタが容易に入手できるようになった.Fiber Bragg Grating (FBG)と呼ばれるそのような素子は,反射型のバンドパスフィルタとして作用し,サーキュレータを組み合わせることでファイバーアンプの利得帯域を効果的に制限することが可能である.帯域幅15 GHzのFBGと縦モード間隔FSRが7.7 GHzの光共振器を用いることで,利得帯域内に発振可能な周波数モードがただ一つ存在する条件を作り出すことができる.これにより狙い通りに,中心波長1064 nmの単一周波数モードで発振するFFCの開発に成功した.はじめに取り組んだフィネス70の試験では,FBGを温度安定化することで,安定に共振器内にレーザー光を蓄積することができた.一方で,フィネスを500まで高くして同様の系を構築すると,アルミ製の共振器スペーサでは温度変化によってモードホップが頻繁に発生し,不安定であった.この際,発振周波数が共振器長の変化に依存せず,2つの特定の周波数モードに限定される興味深い現象が確認された.その後,共振器スペーサを温度膨張係数の小さなスーパーインバーに変えて,フィネス30000の試験を行ったが,1064 nmではFBGを挿入しない場合にも発振に至らなかった.これは使用するYb添加ファイバーの利得が,高フィネス共振器の挿入損失を上回るだけの利得を1064 nm帯域で発生できないのが原因である.利得の高い1030 nm近傍では発振することを確認したため,FBGの中心波長をそこに揃えることで,高フィネス単一周波数モード化が実現できると考えられる.
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Optics Letters
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Journal of Physics: Conference Series
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