本研究は,ガス等の計測,樹脂やガラス等の加工,プラズマの発生・計測,工業材料の精密診断測定に用いることが可能となる中赤外領域の短パルスレーザーを開発するものである.直接的な中赤外領域パルスレーザーの開発はエネルギー効率の良さから省エネルギー化に寄与する点も本研究の重要性と言える. 今年度は中赤外ファイバーレーザーによるパルス発振を安定動作させることを目指して研究を行い,リング型ファイバーレーザー共振器による中赤外領域短パルス発振の安定化を目標とした. そのために分光器およびパルス波形測定器を開発した.分光器は,自作で安価に組みあがるように工夫した.また,リアルタイムで観測することが重要であるため,モノクロ式ではなく,シングルショット撮像が可能な画像分光器とした.この設計により時々刻々変化する不安定な状態を観測することが可能になった.パルス波形測定器は基本的には購入物品で対応し,パルス波形の観測に成功している.また,安定動作させるように温度安定化を行った.その結果,安定なQスイッチパルスを得ることに成功しておりこれらの成果は2度の国際学会で発表されるに至った.特に11月に行われた2018 International Conference on Advanced Manufacturing(ICAM2018)で発表したプロシーディングス論文は,BEST CONFERENCE PAPER AWARDを受賞するに至るなど,一定の成果を得ている.
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