研究課題/領域番号 |
17K14129
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
時実 悠 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 研究員 (80648931)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | テラヘルツ / OCT |
研究実績の概要 |
本研究の目的はテラヘルツ(THz)波アップコンバージョン技術を用いた位相検出技術による周波数変調型THz-OCTを開発することである。 平成28年度はテラヘルツ光を用いた周波数変調型OCT光源の原理実証を行った。THz-OCTに必要となるビーム奥行き方向の距離測定について検証した。光源に光注入型テラヘルツパラメトリック発生器(is-TPG)を用いて自己干渉系を構築した。測定サンプルとして、アルミ平面ミラー、シリコン基板を用いた。テラヘルツ周波数を1.2THzから1.6THzで変調しパイロメーターで干渉スペクトルを測定した。平面ミラーを測定した結果、スペクトルに周期的な変調を観測した。フーリエ変換によって位置情報に変換した結果ピークを観測した。ピーク位置はサンプルと参照ミラーの光路差によく一致した。またシリコン基板の測定においても干渉スペクトルを得た。位置情報に変換した結果、分裂したピークを観測した。このピーク間距離はシリコン基板の厚さに屈折率をかけた値とよく一致した。シリコン基板の表面、裏面の位置を分解して測定できた。 以上より構築した実験系で奥行き方向の距離測定が可能であることが分かった。またTHz-OCTに必要な測定手法およびスペクトル可変範囲や干渉スペクトル周期等のパラメーターを得た。これらのパラメーターは原理的にアップコンバージョンTHz-OCTと同等である。よって、アップコンバージョンTHz-OCTの実現に必要となる基礎技術を確立した。 来年度はアップコンバージョン計測系を構築し自己干渉計を用いない周波数変調型THz-OCTの原理検証を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度構築した実験系で1.5THz付近においてTHz-OCTの原理実証を達成した。これによってTHz-OCT測定に必要な基礎技術を獲得し、測定パラメーターを得た。原理的には今年度構築した実験系のパラメーターはアップコンバージョンTHz-OCTに継承される。そのため、本年度得られた結果はアップコンバージョンTHz-OCTの開発のための基礎技術として利用できる。今後、得られた技術とアップコンバージョン位相測定技術を融合することでアップコンバージョンTHz-OCTが構築を進める。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、アップコンバージョンTHz-OCTの実現を目指す。アップコンバージョン系を構築しTHz測定感度の高感度化を進める。またアップコンバージョンによる高感度検出可能な周波数帯域を可変にする。構築したアップコンバージョン実験系を用いて位相測定を行い、アップコンバージョンTHz-OCTの原理検証を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定を変更しTHz-OCTの原理検証を行ったため差額が生じた。今後行うアップコンバージョン系の構築に必要な経費として使用する。
|