最終年度は、光パラメトリック増幅(OPA)励起用として前年度までに開発した775nm光周波数コム発生系(1550nm光周波数コム発生系及び第二次高調波発生系)をさらに高性能化し、当初計画で目標としていた10GHzを大きく超える25GHzまで繰り返し周波数を高速化することに成功した。また、前年度まで量子もつれ光子対生成用の非線形光学結晶にバルク型結晶を用いていたところ、最終年度には導波路型結晶を用いた系を構築し、バルク型結晶を用いた従来システムと比較して遥かに低い励起光強度でも高いレートで量子もつれ光子対が生成できる高効率なシステムを開発した。以上の高繰り返し光周波数コム及び高効率量子もつれ光子対生成システムを用いて実際に量子もつれ光子対生成実験を行い、量子状態の忠実度を90%以上に保ったまま従来と比較して遥かに高速で量子もつれ光子対が生成できることを実証した。次に、前年度から引き続き、光空間位相変調器と4f系を用いて1550nm又は775nmにおいて動作する波形整形器の構築を進めた。最終年度には、OPAで生成される単一光子と同様のスペクトル構造を持つ微弱コヒーレント光を1550nmにおいて生成し、構築した波形整形器でスペクトル要素1本ずつが独立に制御できることを確認した。これにより、例えば1550nmにおいて生成した単一光子に対して、いわゆるline-by-lineでの波形制御が可能となった。
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