反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である全反射高速陽電子回折(TRHEPD、トレプト)の最表面敏感性をフルに生かして、表面構造を最表面から順に決定できる「方位角プロット法」の手法開発を進めた。ここではまず試料マニピュレータを改良し、視射角を維持したまま方位角を変化させてデータ取得できるようにした。また試料ホルダを改良し、絶縁体試料基板を電子ビーム加熱により温度調整できるようにした。この装置をもちいて、まず構造確定しているルチル型TiO2(110)(1×1)表面の解析にトライした。方位角プロット法により取得した実験データは、従来モデルをもちいて再現計算した結果と精度良く一致した。これにより方位角プロット法をもちいて、表面構造を最表面から下層まで一層ずつ順々に決定できることを実証した(論文執筆中)。これらの成果について、物理学会・表面学会・陽電子科学会・放射線アイソトープ研究会、国際学会等で発表した。
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